【しなにゃん散歩】あの釣り好きたちの待ち合わせ場所になった橋

しながわ観光協会の公式キャラクター「しなにゃん」が品川区内の映画・ドラマ・CMのロケ地となった場所へ案内する「しなにゃん散歩」。

今回のテーマは、“物語のターニングポイント”になってきた品川のロケ地です。巨大怪獣が姿を現した場所であり、日本一有名な釣り好きコンビが初めて待ち合わせをした場所でもある――そんなドラマチックなスポットを、しなにゃんと一緒に歩いてみましょう。

八ツ山通り・北品川橋付近(品川区東品川1丁目)

最寄り駅は京浜急行本線・北品川駅ですが、JR品川駅港南口からも徒歩約10分でアクセスできます。

ガラス張りの高層ビル群がある品川駅から歩き始めると、ふと視界が開け、まるで時間が巻き戻ったかのような一角に出ます。そこに広がっているのは、木造の古い民家や昔ながらの船宿、そして静かに浮かぶ屋形船。「ここは本当に品川なの?」と思わず口にしてしまう人が多いのも頷ける、昭和の空気が色濃く残るエリアです。

この“時間の境目”のような場所が、数々の映像作品にとって、物語の重要なシーンを支える舞台となってきました。

北品川エリアを代表する道路のひとつが「八ツ山通り」。その起点に架かっているのが、映画ファンの間で「聖地」ともいわれる「八ツ山橋」です。

この橋は、1954年公開の『ゴジラ』で、あの初代ゴジラに破壊された橋として登場しました。さらに時を経て、2016年公開の『シン・ゴジラ』では、ゴジラが再び現れ、八ツ山橋の向こう側に姿を現すシーンが描かれています。

八ツ山橋は、映画ファンだけでなく、跨線橋こせんきょうマニアの聖地でもあります。明治5年(1872)1月14日に完成したこの橋は、日本でも非常に古い歴史を持つ跨線橋の一つ。150年以上、日本の鉄道の変遷を静かに見つめてきました。

2025年現在、京浜急行の連続立体交差事業に伴い、八ツ山橋は架け替え工事が進行中です。長年親しまれてきた姿は、そう遠くない将来には見納めになる可能性があります。変わりゆく姿も含めて、今のうちに訪ねておくとよいでしょう。

北品川橋

さて、ロケ地に戻ってきました。一見して「古い橋だな」と感じる、低く慎ましやかな石造りの「北品川橋」。大正末期に造られたもので、およそ100年近い時を越えて今も人々の生活を支えており、橋を渡った先には、屋形船や釣り船を営む店舗が連なっています。

北品川橋は『釣りバカ日誌』ファンにとって忘れられないロケ地です。第1作(1988年公開)で、主人公のハマちゃんとスーさんが、まだ互いの正体を知らないまま、東京湾で一緒に釣りに行くきっかけとなる待ち合わせ場所が、この北品川橋でした。ここで待ち合わせた後「三河屋」の釣り船に乗り込むシーンへと続いていきます。

現在の北品川橋は、撮影当時と大きくは変わっていません。橋のたたずまいを眺めていると、「いまもどこかでスーさんがハマちゃんを待っているのでは」と想像してしまうような、温かみのある空気が流れています。

品川浦船溜まり

北品川橋の周辺は「品川浦船溜まり」と呼ばれており、屋台船・つり船が停泊しています。

かつての品川浦は「御菜肴八ヶ浦おさいさかなはちかうらの一つに数えられていました。これは、江戸城へ魚介類を納めるために指定された漁村の総称で、品川浦はその中でも豊富な水揚げで知られる重要な漁場でした。

特に海苔の産地として発展し、品川で採れた海苔は江戸の食文化を支える存在でもありました。しかし、東京港の建設が進む中で、昭和37年(1962年)、品川浦の漁場権利は東京都に譲渡され、翌年には品川周辺での海苔養殖が幕を閉じました。

この品川浦船溜まりと北品川橋がロケ地になった、2024年制作のYouTubeドラマ「しながわミステリークラブ」(しなロケ=品川区フィルムコミッション制作)でも、「2/3」のエピソードでキャラクターの立ち位置と背景が巧みに対比されています。

同じ場所でありながら、カメラを向ける方向によって「昭和の下町」と「令和のビジネス街」というまったく異なる風景が映し出される――このコントラストが、作品の世界観づくりにも一役買っています。

品川浦一帯では、大規模な再開発計画が検討されており、現在の景観が将来的にどこまで残されるのか、現時点でははっきりしていません。

古い木造家屋やつり船、静かな船溜まり、水面に映るビルの灯り――これらが同じバランスで共存する風景は、東京の中でも貴重な「時代の重なり」を感じさせる場所です。ぜひ実際に足を運んでみてください。

北品川橋・品川浦船溜まり
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-7-1
交通アクセス京急線 北品川駅 徒歩5分