区民も知らない観光スポット? 品川区役所の隠れた魅力を探しにいきました!
マイナンバーカードや引っ越しの手続きなど、品川区民なら訪れる機会のある「品川区役所」。JR・東急大井町線・りんかい線の大井町駅から徒歩5分の立地です。
いつも用事だけすませて帰ってしまいがちですが、実は品川区民以外でも楽しめるスポットがたくさんある隠れた観光スポットなのだそう。品川区役所を探検して、その魅力を探してみましょう!(2019.3.1)
1. ■大井町駅から徒歩5分 ― 品川区役所ってどんなところ?
現在、品川区役所内では2000人近くの職員が働いています。
庁舎は、税務課や高齢者福祉課のある「本庁舎」、防災課や教育委員会のある「第二庁舎」、区民相談室のある「第三庁舎」の3つに分かれています。本庁舎と第三庁舎の間には、戸籍住民課や区議会が開かれる「議会棟」も。いずれも6~8階建てで、なかなか探検しがいがありそうです。
今回案内してくれたのは、品川区・文化スポーツ振興部文化観光課・観光推進係長の大森直人さん。観光推進係は、地域の方々が開くイベントのサポートなど、観光にまつわる業務を担当しています。
ちなみに、大森さんは2019年で勤続25年になるそう。長年、区役所に通われている大森さんと一緒に、品川区役所の見どころを探っていきます!
2. ■見どころ1:運が良ければ富士山やドクターイエローが見られる「屋上ルーフガーデン」
意外と知られていないおすすめスポットの1つが、本庁舎の屋上です。2016年にルーフガーデンとしてリニューアルされました。大井町駅はもちろん、劇団四季の「キャッツシアター」や複合スポーツエンターテイメント施設「スポル」など、大井町の周辺地域を一望できます。
区役所の西側には、新幹線や東急大井町線も通っていて、運が良ければドクターイエローが通る日も。鉄道好きからも愛される場所なんだとか。
筋トレができるアスレチックベンチが置かれた「健康増進ゾーン」や、子どもが遊べる遊具やベンチのある「親と子の交流ゾーン」もあります。お子さんと一緒に区役所に来たときの休憩にもピッタリです。
現在の形になるまでは、屋上菜園やビオトープの設置など、試行錯誤を繰り返したそう。より区民に愛される場所となるように改良を重ね、今では、近くの保育園の子どもたちが遊びにくることも増えました。
春には多くの花が咲き、憩いの場となる場所。天気が良い日には、富士山も見えますよ。
●屋上ルーフガーデン ・住所 東京都品川区広町2-1-36 本庁舎R1階 ・営業時間/定休日 月曜、水曜~金曜 8:30~17:00・火曜 8:30~19:00・日曜 8:30~17:00/土曜・祝日・年末年始 http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/shinagawaphotonews/shinagawaphotonews-2016/hpg000027986.html ※屋上にゴミ箱を設置していないため、ゴミは各自お持ち帰りください。
3. ■見どころ2:消火栓からVRまで! 体を使って知識を得られる「しながわ防災体験館」
次に向かったのは、第二庁舎防災センター2階にある「しながわ防災体験館」です。こちらは、災害の恐ろしさを知るだけではなく、生き延びるための正しい知識や技術の習得を目的に作られた施設。東日本大震災などの過去の災害の教訓を踏まえて、2016年3月11日に大幅リニューアルしました。
都内に防災体験ができる施設は複数あるものの、区役所に併設しているのは品川区だけなんだそうです。
まず目に入るのは「防災展示コーナー」。木造住宅が密集した品川区ならではの防災課題の取り組みの展示はもちろん、いざという時に役立つ防災用品もしっかりと紹介。品川区に在住する方・在勤者は、防災用品購入のあっせんも受けられます。
そして、しながわ防災体験館の真の魅力はここから。館内には展示だけではなく、防災体験コーナーが用意されています。
まず挑戦したのが、火災を消す本格的な「初期消火体験」です。火災が発生した家が映るスクリーンに向かって、実際にホースを向けて消火体験ができます。
使うのは家庭用の消火器だけではありません。路上にある黄色い縁取りのマンホール「消火栓」に、「スタンドパイプ」という器具を使って実践できます。水が出始めた時の水圧が想像以上に強く、放水の方向をコントールするだけでも大変です。しっかりと方向を定めて水をかければ、画面の中の火も消えていきました。
「要配慮者避難誘導体験」コーナーでは、高齢者や障がい者と一緒に、どう避難するかを体験できます。用意された人形の重さは15キロ。実際の人体より軽いものの、ベッドから持ち上げて、車椅子に乗せるだけでも一苦労。坂道や凸凹などの「悪路」が用意されているので、避難の難しさを知るだけではなく、車椅子操作のコツもわかります。
こちらは2018年6月に設置された「防災体験VR」。360度の映像が見られるヘッドマウントディスプレイを使って、災害をよりリアルに体験できます。現在のコンテンツは2種類。2019年の3月には新しくもう1種類が増える予定です。
「避難体験VR」(株式会社理経製)は、オフィスビルで起こった火災から、避難誘導にしたがって移動するもの。建物内で発生した火災の煙を吸わないよう、避難時には体を低くかがめるのが重要です。実際の火災と同様に、実際に身をかがめて避難します。
品川区版防災オリジナルコンテンツVRマンション編は、地震に対して日頃より備えておくべき物事を探す体験ができます。いずれもゲーム感覚で取り組めるものの、進めるうちに自然と防災の知識が身につけられます。
※ヘッドマウントディスプレイは13歳以上向け。小学生以下のお子さんや体をかがめるのが難しい方のためには、360度映像のみを見られる簡易版も用意されています。
ほかにもVRで習った火災時の対応を自分の体で試せる「避難姿勢体験」コーナー、AEDなどの使い方を学べる「応急救護体験」も用意されています。
「シアター/ワークショップルーム」では、品川区で巨大地震が発生した場合を想定したVTRなども用意しています。3面のモニターの映像は大迫力でした。
ちなみに、品川区役所内にはさまざまな向きの揺れを起こせる「地震体験車」もあります。縦揺れ以外にも対応しているため、関東大震災や阪神淡路大震災、東日本大震災などの過去に発生した地震を実際に体験できます。実際に体験すると、避難どころではなく、座っているだけで精一杯! 震災の恐ろしさを強く感じられました。
この地震体験車は発電ができるため、震災などが起こったときは、そのまま被災地域では発電機として活躍します。普段は、小・中学校や企業の防災研修、地域の防災訓練などへ出張しているそう。利用を希望する場合は区役所へお問い合わせください。
地震や火災は、日常生活の中で、突然やってくるもの。いざという時に慌てないよう、ぜひ体験してみてください。
●しながわ防災体験館 ・住所 東京都品川区広町2-1-36 防災センター2階 ・電話番号 03-5742-9098 ・営業時間/定休日 9:00~17:00/月曜・土曜・祝日・年末年始 http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/bosai/bosai-bosai/bosai-bosai-kunotaisaku/hpg000027669.html
4. ■見どころ3:品川のことをもっと知りたくなったら「区政資料コーナー」へ!
「品川区についてもっと知りたい!」と思ったら、第三庁舎の「区民相談室」内の「区政資料コーナー」を訪れましょう。
品川の歴史や地理などをはじめとする、区政に関する資料が約3900点そろっています。区民は資料の閲覧だけではなく、借りることも可能です。
大森さんも、品川観光に関する書籍を興味深げに眺めていました。
また、品川区をより深く知るための書籍や冊子、地図の販売を行っています。探している資料の種類を伝えれば、スタッフさんが助けてくれるので、品川区に関連する資料を探すときにはぜひ訪ねたい場所です。
●区政資料コーナー ・住所 東京都品川区広町2-1-36 第三庁舎3階 ・電話番号 03-5742-6614 ・営業時間 8:30~17:00 ・定休日 土・日・祝日・年末年始
5. ■見どころ4:品川区役所には、かわいいキャラクターがいっぱい!
ここまでぐるぐると品川区役所を歩いてきましたが、各所にいろいろなキャラクターがいるのが目に入ります。ここで、気になる各キャラクターを一気にご紹介しましょう!
まずは、しながわ観光大使の「シナモロール」。冬の間に大井町に展示されていたイルミネーションは、現在品川区役所内に移されて、フォトスポットになりました。
ほかにも、シナモロールは区役所のなかにたくさん隠れています。
「戸籍住民課」の看板にもシナモンが登場です!
2019年2月からは本庁舎の3階と4階の間に階段装飾がスタートしました。ほかの階にもさまざまな装飾がされているので、通るときにはぜひ注目してみてくださいね。
そして、しながわ防災体験館には、防災の基本理念の1つ「自助」が由来の防災課「ジージョくん」がいます。季節に合わせて、装いがちょっぴり変わるのがチャームポイント。
認知症対策の普及啓発キャラクター「くるみちゃん」は、かわいらしいリス。この名前には、「まちぐるみ、地域ぐるみ、品川ぐるみ」で取り組んでいこうという思いが込められています。主に、高齢者福祉課に隠れていますよ。
税務課にいる「茄子夫」や「玉ねえ」は、野菜をテーマにしたキャラクター。絵を描くのが得意な職員さんが生み出したキャラクターだそう。
そして、品川区の防犯マスコットキャラクター「しなぼう」。スイス山岳部で番犬として活躍するバーニーズ・マウンテン・ドッグをイメージして作られています。
ちなみに、大森さんはしながわ水族館の「しなフィン」がイチオシだそう。
最後は、品川区内で開催されるオリンピック・パラリンピック競技の応援キャラクターたちです。左からブラインドサッカーを応援する妖怪猫又「やたたま」、ビーチバレーボールを応援するネズミ「ビーチュウ」、そしてホッケーを応援するゆりかもめ「シナカモン」です。いずれも、デザイン案を公募して生まれました。
この3キャラクターの「大きなぬいぐるみ」(各1,800円)や「キーチェーンつきぬいぐるみ」(各600円)は、区役所食堂の近くにある社会福祉協議会運営の「Yショップふれあい売店」で販売されています。
ちなみに、売店近くに置かれている顔ハメパネルは、お笑い芸人のワッキーさんが描いた作品。東京オリンピックで、品川区内で開催される競技「ビーチバレーボール」をテーマにしています。
●Yショップふれあい売店 ・住所 東京都品川区広町2-1-36 第二庁舎2階 ・電話番号 03-5742-6614 ・営業時間 8:00~16:00 ・定休日 土・日・祝日・年末年始
6. ■見どころ5:傍聴席以外は入れない「議場」を見せてもらいました
今回取材にあたって、普段は傍聴席以外入れない議場も特別に入れてもらいました。なんと案内役の大森さんも入るのはこの25年で初めてだそう!
想像以上に広くて立派です。区議会議員さんは、ここでお仕事をされているんですね。
最近では、質問者の演台まわりをバリアフリーに対応。段差がなくして床を平らにし、演台の高さを電動で変えられるようになりました。
議場には入れないものの、傍聴席からはどなたでも議会を見られます。開会の1時間前から、同棟4階の区議会事務所で受付を行っているので、ぜひ傍聴してみてください。
7. ■ただ行くだけじゃもったいない! 品川区役所を探検してみよう
また、2017年10月には、シェアサイクルのポートを設置するなど、区民の利便性向上にも取り組む品川区役所。ちなみに品川区役所から徒歩2分のところにある「しながわ観光協会」にて、品川区シェアサイクル「1日パス(税込2,160円)」も販売しています。
品川区役所に立ち寄る際は、用事を済ませるだけではなく、さまざまな場所を探検してみてくださいね!
取材・文:鬼頭佳代(ノオト) 編集:松尾奈々絵(ノオト)