品川区・御殿山エリアでゆったりお散歩
品川区北品川の高台にある御殿山(ごてんやま)エリア。江戸時代には将軍の別邸が建てられ、花見の名所としても栄えました。品川駅や北品川駅、五反田駅から徒歩圏内ですが、現在でも豊かな自然が残り、ゆったりとお散歩を楽しめるエリアです。今回の記事では、庭園や飲食店、書店など、御殿山の散策にぴったりなスポットをご紹介します。
また、しながわ観光協会では、2025年12月2日(火)の紅葉の美しい時期に、御殿山庭園および近隣の歴史スポットを巡るまち歩き「『御殿山モノガタリ』錦秋のまち歩きガイドツアー」を予定しています。
※詳細は11月11日以降、広報しながわ(11月11日号)および、しながわ観光協会ホームページ(https://shinagawa-kanko.or.jp/)に掲載いたします。

1. 御殿山はどんな場所? 品川歴史館に聞いてみた

品川区北品川の3~4丁目に位置する御殿山。住宅街や高層マンション、オフィスが立ち並ぶエリアとして知られていますが、複合施設「御殿山トラストシティ」には「東京マリオットホテル」や「御殿山庭園」などが入り、観光スポットとしても人々が訪れています。
そんな同エリアですが、「御殿山」という地名は現在残っておらず、明確な場所や歴史は実はあまり知られていません。
今回は、開館40周年記念として特別展「御殿山」を開催中の品川歴史館に、御殿山の歴史や成り立ちを聞いてみました。

御殿山の地名は、かつて江戸時代に将軍家の別邸「品川御殿」があったことに由来します。このことから御殿山を「徳川ゆかりの地」として認識している方もいるでしょう。
品川歴史館学芸員の冨川武史さんによると、「品川区のなかでも古代から現代まで、こんなにも歴史が明らかになっている場所は少ない」とのこと。特別展では、知られざる御殿山の歴史を縄文時代から紹介しています。

古代の御殿山には古墳があったことが、江戸時代の記録から判明しています。しかし現在、住宅街であることから古墳を掘り起こすのは難しく、未だ実物は見つかっていません。未発見の古墳が埋まっているなんて、ロマンのあるエリアですよね。

江戸時代に入ると、品川は東海道の宿場町「品川宿」として発展していきます。そんななか、街道や海からの侵略を防ぐことを目的に、徳川家光が品川御殿を造営しました。

江戸城防衛のために作られた品川御殿でしたが、実際に攻め込まれることはなく、歴代将軍の鷹狩り、茶会などに活用され、品川における活動拠点となっていきました。
大河ドラマ「べらぼう」には、徳川家基が鷹場で毒殺されるという場面が登場しますが、特別展では当時の実際の資料も展示しています。

徳川吉宗の時代には、園地解放によって御殿山の一部は庶民の行楽地に。吉宗が櫨(はぜ)や白膠木 (ぬるで)を植え、紅葉が美しい秋の公園として整備されたようです。その後、桜が多く植えられたことで「江戸屈指の桜の名所」となり、その賑わう様子は多くの浮世絵にも描かれています。
明治以降、政府は御殿山の土地を分譲。財界の要人が購入し、邸宅が建っていきます。一般向けに宅地化したあとも、御殿山はこのような歴史背景からブランドのある土地となり、高級住宅が立ち並ぶエリアとなったのでした。

特別展「御殿山」では、前期で古代から江戸時代の鷹狩りまで、後期で園地解放から現代までを紹介します。緑が印象的な展示室も、後半にはがらりと華やかに変化するかもしれません。
前後編あわせて来館することで完成するシールラリーも開催中ですので、御殿山の歴史に興味が湧いた方はぜひ行ってみてください。
品川歴史館 特別展「御殿山」 ・開催期間 前期:2025年10月11日(土)~12月7日(日) 後期:2026年1月17日(土)~3月8日(日) ・住所 東京都品川区大井6-11-1 ・電話番号 03-3777-4060 ・開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで) ・定休日 月曜日(祝日の場合は開館し、次の平日に休館)、年末年始、臨時休館日 ・観覧料 一般=300 円、小中学生 =100 円(特別展開催中) ※通常時は一般=100円、小中学生=50円 ※品川区立・区内在住の小中学生、70歳以上の方、障害のある方は無料 ※団体割引に関しては公式HPよりご確認ください。 ・URL https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/jigyo/06/historyhp/hsindex.html
2. 「御殿山庭園」 四季折々の光景が楽しめる、都会のお散歩スポット

「御殿山庭園」は、東京マリオットホテルに隣接する日本庭園。約2000坪の庭園内には、傾斜地を利用して整備された散策路と豊かな木々が巡らされ、お散歩や休憩にぴったりです。

庭園の端には大きな人工の滝が流れています。その涼しげな風景は、都心にいることを思わず忘れるほど。

園内には四季折々の植物が植えられ、どの季節に来ても楽しめる公園として親しまれています。特に見ものなのは、ソメイヨシノをはじめとする桜。春には桜のライトアップやさまざまなイベントを行う「御殿山さくらまつり」が開催され、多くの人が訪れます。

例年11月下旬から12月上旬ごろには紅葉が見頃を迎え、池の水面に映る鮮やかな色彩も見どころの1つです。

一周すると400mほどの小さな庭園ですが、深呼吸をしながらゆっくりと園内を散策していると、不思議と気持ちが落ち着きます。都会の喧噪に少し疲れたら、御殿山庭園でひとときの癒しの時間に浸ってみては。
御殿山庭園 ・住所 東京都品川区北品川4-7-35 ・開園時間 7:00~19:00 ・定休日 なし ・入場料 無料 ・URL https://www.trustcity-g.com/about/gotenyama_garden
3. 「Lounge&Dining G」 開放感あふれる空間で、季節のアフタヌーンティーを堪能

東京マリオットホテルの1階ロビーに広がる「Lounge&Dining G(ラウンジ&ダイニングG)」。レストラン、ラウンジ、バー、ショップなど、さまざまな使い方ができるお店です。

ドッグフレンドリーで四季折々の景色が望める屋外テラス席や、ガラス張りの吹き抜けが開放的なラウンジ席、個室席など、目的や気分に合わせて選べる多彩な席を用意しています。

同店では、旬のフルーツや食材をふんだんに使った季節ごとのアフタヌーンティーが人気です。
2025年11月20日まで、長野県「東御こもだ果樹園」のぶどうが主役の「Afternoon Tea – Autumn Grape Elegance-」(7,500円)を提供中。マスカットのソースとジュレのグリーンが目を引くレイヤードパフェや、ぶどうの食べ比べを楽しめるタルトなど、ぶどう尽くしの8品のスイーツのほか、秋の味覚を楽しむ4品のセイボリー(軽食)が並びます。

さらに、2026年2月28日まで、植物由来の食材のみを用いて季節の味覚を堪能する「Vegan Afternoon Tea」(8,700円)も登場。愛媛県産の希少な「中山栗」を贅沢に使った「ヴィーガンモンブラン」を筆頭に、動物性の食材不使用のスイーツ8種、セイボリー4種をラインナップ。ヴィーガン食でありながら、食べごたえのある一品一品を堪能できます。
御殿山庭園の豊かな緑に囲まれながら、開放感たっぷりの空間で優雅なティータイムを楽しむのはいかがでしょうか?
Lounge&Dining G ・住所 東京都品川区北品川4-7-36 ・電話番号 03-5488-3929 ・営業時間 モーニング=6:30~11:00/ランチ=11:00~15:00/ティー=11:00~17:00/ディナー=17:00~21:30/バー=15:00~23:00 ・定休日 なし ・URL https://g.tokyomarriotthotel.com/
4. 「nanairo books and GALLERY」 子どもから大人まで、新たな世界と出合える絵本書店

御殿山庭園から5分ほど歩いた、閑静な住宅街にある絵本書店「nanairo books and GALLERY」。
店主の藤村尚子さんが2017年に開いたお店で、現在は水曜と木曜の週2日営業。店先に白い看板が出ているのが目印です。

店内には国内外の絵本が並べられ、中央には大きなテーブルが。訪れたお客さんがここで一息つきながら、絵本を選ぶこともあるそうです。
「この辺りで赤ちゃんを育てているお母さんたちが、息抜きをする場所になってきた感じもあります。一緒に座って、子育ての話をしたり、絵本の話をしたりして」と藤村さん。

藤村さんがお店を開くきっかけは、1冊の絵本でした。娘さんの幼稚園の先生と「最近の子どもは、周りから笑われたりからかわれたりするから幼稚園や学校のトイレでうんちができない」という話になったそう。
自分の体について知るためにうんちはとても大切なもの、と考えるきっかけになるような絵本がなかなかなかったことから、藤村さんは絵本「なないろうんち」を自作。それが好評だったため、イラストレーターを交えて改めて作り、出版することになりました。
発行したのは500部。自宅に運ばれてきた大量の絵本を見て、「さてどこで売ろう……」と考えた藤村さんは、車庫の空いているスペースを使おうと決意。「なないろうんち」と、藤村さんがセレクトしたほか10冊ほどの絵本を並べて、小さな絵本の書店をスタートしました。

本棚には、国内外の作品や英語の作品など、藤村さんが1冊1冊こだわって選書した絵本たちが並んでいます。テーマもほっこりする物語から、平和や自然環境について考えるものまで、さまざまです。
「お子さんが知らなかった世界に触れて、想像力が広がるきっかけになれば」という藤村さん。大人が手に取っても、奥行きのある世界観を楽しめそうな絵本たちです。

営業日は天候や季節によって変更があるので、来店前にSNSをチェックしてほしいとのこと。
御殿山散策の際にふらりと立ち寄れば、身近な子どもや自分へのプレゼントに、とっておきの一冊が見つかるはずです。
nanairo books and GALLERY ・住所 東京都品川区北品川4-5-8 ・営業時間 水曜・木曜=12:00〜17:00 ・URL Instagram https://www.instagram.com/nanairobooks/
5. 「ジヴェ クラフトビール&スパニッシュ」 フラメンコショーも楽しめるスペイン料理店

オフィスや飲食店街が入るビル「ガーデンシティー品川御殿山」の1階にお店を構える、スペイン料理店「ジヴェ クラフトビール&スパニッシュ」。2015年、同ビルの開業とともにオープンし、今年で10年目を迎えます。

ベルギービールとフランス料理の店としてオープンした同店は、コロナ禍のタイミングでスペイン料理店に業態変更。フレンチの調理技術を用いて、こだわりのオードブルからカジュアルなスパニッシュまでを提供しています。

パエリアは、「魚介のパエリア」(S=2,300円、M=4,500円)、「イカ墨のパエリア」(S= 2,100円、M =4,000円)、「鶏肉と魚介のミックスパエリア」「イベリコ豚とキノコのパエリア」(以上、S=2,400円、M=4,700円)の4種類を用意。
アラカルトメニューで加瀬さんの一押しは、「鶏の白レバームース」(1,100円)。レーズンパンの上に乗せたなめらかで濃厚なムースは、赤ワインにも白ワインにも合う味付けです。スペインから輸入した生ハムの原木を切り分けて提供する「イベリコ豚の生ハム」(10g=800円~)は、「好みの分量を目の前で切ってもらえる」と好評。
コース料理は「イベリコ豚コース」(5,000円)など3種類あり、2名以上で利用可能です。

ドリンクの看板メニューは8種類の国産クラフトビールで、ビールタップから注いで提供します。50mlの小さなジョッキで提供する「クラフトビール8種飲み比べ」(1,800円)が一番人気とのこと。

最近は、要望に応えてランチタイムのお弁当販売(店内飲食も可)を復活させ、「穴子バルサミコ煮」(1,177円~)や「スモークチキン」(685円〜)などを提供しています。

また、同店は都内でも珍しく、フラメンコのステージを店内に設置。フラメンコショーは月1回程度開催で、ショーの観覧は1ドリンク・1プレート込みで5,500円(予約制)です。最近は、フラメンコのショーが見られることをSNSで知って来てくれるお客さんも。
昼はテイクアウトしたお弁当を御殿山庭園で味わい、夜はフラメンコのショーを堪能する、なんて楽しみ方もできそうです。
ジヴェ クラフトビール&スパニッシュ ・住所 東京都品川区北品川6-7-29 ガーデンシティー品川御殿山1F ・電話番号 03-5422-9994 ・営業時間 ランチ=11:30~14:00、ディナー=17:30〜22:00 ・定休日 土曜・日曜・祝日(貸切は可能) ・URL https://stayfoolish2014.com/givet/
御殿山エリアの歴史やおすすめの散策スポットを紹介しました。駅から少し足を伸ばして、御殿山の豊かな自然の中でリフレッシュしてみませんか?
※記事中の店舗情報は2025年10月中旬の内容です。店舗の営業時間、提供内容は変更となる場合がありますのでご了承ください。
取材: 安光あずみ(品川歴史館) 並木江梨加(御殿山庭園、Lounge&Dining G) 神野美歩子(nanairo books and GALLERY) きゃしー(ジヴェ クラフトビール&スパニッシュ)
編集:阿部夏美/ノオト
<イベント情報> 【開催中】 「品川×大田 旧東海道でつながるまち WAKU☆WAKU ラリー」(2025年11月30日まで) 重ね捺しスタンプラリーでは、御殿山にまつわる浮世絵風の絵ハガキが出来上がります。
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