旗の台おすすめスポット
駅周辺に7つもの商店街があり、個人店が軒を連ねる下町情緒あふれる街・旗の台。今回はそんな旗の台で店主さんに「おすすめのスポットはありますか?」とリレー形式で伺いながら、街を巡ってきました。旗の台を知り尽くした店主さんだからこそおすすめできる、魅力たっぷりのスポットは必見です。(2019.2.21)
1. エンタメ感覚で楽しめる! 全国初の健康増進型銭湯「新生湯」
1カ所目は、編集部がセレクトした旗の台の人気銭湯「新生湯(しんせいゆ)」。旗の台と荏原町をつなぐ三間通りを右折し、住宅街を少し歩くと、特徴的なピンクののれんが見えてきます。
昭和26(1951)年創業の新生湯は、全国初の「健康増進型銭湯」。健康増進法にもとづき、健やかな体づくりに特化した設備を備えています。
造りが異なる二つの浴場「太陽の湯」「大地の湯」があり、週ごとに男女の浴場が入れ替わるシステム。高濃度炭酸泉、流水歩行浴、露天風呂、遠赤外線コンフォート岩塩サウナ、薬湯など、あわせて14種、18の浴槽があります。
身体への負担を軽減するため、お湯はすべて“ぬるめ”の温度設定。長時間入浴できるので、いろいろな浴槽を満喫できるのがうれしいポイントです。
人気は、水流に逆らって歩くことで全身運動ができる「流水歩行浴(太陽の湯)」。子どもから仕事帰りのビジネスパーソン、お年寄りまで、幅広い世代のお客さんに親しまれているそうです。
高濃度の炭酸ガスを湯に溶け込ませた「高濃度炭酸泉」は、ゆっくり浸かれる約37度。炭酸ガスが血行を促進し、身体の芯から温めてくれます。
「遠赤外線コンフォート岩塩サウナ」は、発汗作用・保温効果の高い岩塩のブロックを設置したサウナ。室温が低めなため、サウナが苦手な人からも「息苦しくないのにしっかり汗をかける」と人気なんだとか。
「昔ながらの“東京の町の銭湯”らしい雰囲気を大切にしながら、設備は最新のものにしています。今後もアップデートを重ね、誰もが楽しめるような銭湯であり続けたいですね」と語る新生湯のフロア主任・原雄太郎さん。
家族や友人と楽しみながら入浴したい、心身ともにリフレッシュしたい方にはうってつけのスポットです。
新生湯 ・住所 東京都品川区旗の台4-5-18 ・電話番号 03-3781-3476 ・営業時間/定休日 火~金 15:30~0:30 土 15:00~24:30 日 11:00~24:00 月曜定休
<料金> 大人(高校生以上):470円 中学生:300円 中人(小学生以下):180円 幼児:80円 岩塩サウナ(貸バスタオル付き):230円
2. ランチ限定・ワンコインの海鮮丼に大満足! メディアにも多数登場の寿司店「鮨英」
次に訪れたのは、新生湯から徒歩3分の場所に位置する「鮨英(すしひで)」。新生湯の原さんが「ネタが新鮮でおいしい」と太鼓判を押すお店です。
寿司職人として30年のキャリアをもつ島田英孝さんが、なじみ深い旗の台で開いた同店。島田さんの明るい人柄がつくり出す、アットホームな雰囲気を感じられます。
名物は、ランチ限定の「海鮮丼」(500円)。本マグロを含む新鮮な海の幸を贅沢に盛り付けた丼を、なんとワンコインで味わえます。ご飯はほどよく酢が効いており、食が進むこと間違いなし!
握り寿司は「梅」(1,300円)「竹」(1,600円)「松」(2,000円)「菊」(2,700円)「蘭」(3,500円)の5種類。今回は「蘭」をいただきましたが、ネタの新鮮さに驚き! 特にマグロは、口の中でとろけるようでした。
そのほか、飲み放題付きの「店長おまかせコース」(5,000円~1万円)や一品料理、刺身なども提供しています。一品料理のイチ押しは、酢飯の上に和牛しゃぶしゃぶを炙り、さらにウニといくらを載せた「うにくら」(2,200円)。カニといくらを使用した「かにくら」(3,000円)も人気です。
「ワンコインの海鮮丼から本格的なお寿司、海鮮料理まで、豊富なメニューを用意しています。ネタにはとことんこだわっているので、幅広い世代の方に満足していただけるはず。家族連れのお客様もぜひ気軽に食べに来てくださいね」と店主の島田さん。
ディナー営業(17:00~24:00)では、飲み物全品半額のハッピーアワーを毎日開催(月~金 17:00~20:00、土日祝 17:00~18:30まで)! Facebookページに「チェックイン&いいね!」で20%OFF、LINE登録で10%OFFなど、割引サービスも充実しています。おいしいお寿司を気軽に楽しみたい方は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
鮨英 ・住所 東京都品川区旗の台4-7-9 ・電話番号 03-3782-3133 ・営業時間/定休日 ランチ11:30~14:00、ディナー17:00~24:00/火曜定休
3. 遠くから通うファンも! レアなお酒が揃う酒屋「ESPOAこもり」
3カ所目は、島田さんが「種類が豊富な酒屋さん」と紹介してくれた「ESPOA(エスポア)こもり」へ。三間通り沿い、旗の台駅と荏原町駅のちょうど中間地点に位置します。
経営するのは小森豊正さん・栄子さん夫妻。創業は昭和13(1938)年。小森さん夫妻は2代目にあたります。
日本酒や焼酎、ワインなどのお酒、そして食品を取り扱う同店。珍しいお酒も多く、地元の常連さんだけでなく、遠くからわざわざ来店するファンも絶えません。
コンセプトは、「すべての商品を身体にやさしいものに」。お酒も食品も、原材料や製造方法にこだわった良質なものを厳選しています。
現在、ファンの注目を集めているのが、生産量が少なく取り扱う酒屋が限られる“幻の酒”「五人娘」(1升/2,650円)。酒造・寺田本家が、無農薬自然米と醸造場に住み着いた「家つき酵母」で作った日本酒です。混じりけのない自然酒で身体にやさしく、「これなら悪酔いしない」というお客さんもいるほど。
そのほか、「獺祭」の米焼酎(720ミリリットル/3,100円)や日本酒「雪の茅舎(純米吟醸)」(1升/2,800円)、焼酎「伊佐美」(1升/3,060円)も人気だそう。
ワインも、添加物が少なく高品質なものだけを海外から直輸入。国内ではワインの添加物の上限は1リットルあたり350mgと定められていますが、ESPOAこもりでは100mg前後のワインのみを店頭に並べるよう努力しています。
おすすめは、「ラフォレ・ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」(3,800円)。11月のボージョレ・ヌーヴォーシーズンには、240本が即予約完売したんだとか。
「人とのつながりを大切にして、あたたかいコミュニケーションを心がけています。機械的な接客にならず、しっかりお客さんと向き合えるのが個人店ならではの強みでしょうか」と店主の栄子さん。
「餌にホルモン剤を使わないニワトリが産んだ有精卵(10個入り/699円)、無農薬のみかんを贅沢に使用したみかんジュース(720ミリリットル/1,220円)なども販売しています。ぜひ身体の内側から健康になってくださいね」とも。お酒はもちろん、食品も“おいしくて身体にいいもの”へこだわっていることを教えていただきました。
珍しいお酒や食べ物が手に入るだけでなく、小森さんご夫妻のあたたかい接客で心が和むESPOAこもり。
ちなみに、栄子さんはラッピングコーディネーターの資格を持っていて、商品によっては美しいラッピングをお願いできることも! お酒の希望や好みを伝えればぴったりのものを選んでくれるので、プレゼントをお探しの方にもおすすめです。
ESPOAこもり ・住所 東京都品川区旗の台4-6-1 ・電話番号 03-3781-2233 ・営業時間/定休日 10:00~22:00/水曜定休
4. おすすめは“おまかせ”! 焼き魚から唐揚げまで、魚を味わえる居酒屋「釣り魚の店 舟武」
4カ所目は、旗の台駅のほど近くにある居酒屋「釣り魚の店 舟武(ふなたけ)」。ESPOAこもりの小森さん夫妻によると、「とにかくお魚がおいしい」と評判のお店です。
今年で50周年を迎える同店の店主を務めるのは、2代目の佐々木隆吏(ささきりゅうじ)さん。
目指すのは「おいしい魚でお腹いっぱいに」。千葉県千倉町の地元漁師と提携しており、仕入れを仲介なしで直接行っています。そのため、新鮮な魚を安く提供できるそう。漁獲量が少なく、めったに市場に出回らない魚も食べられます。
地元の常連さんでにぎわう同店ですが、魚の新鮮さに惹かれて港町出身のお客さんが来ることも。「『故郷の味を思い出すおいしさ』と言ってもらえるのがうれしい」と笑顔を見せる佐々木さん。
人気メニューは魚料理の“おまかせ”。お客さんの好みや予算を聞き、その日におすすめの魚を焼き魚や煮魚、唐揚げなど、最適な調理法で提供します。
おまかせ以外の一品料理も豊富。刺身はすべて1人前を980円以下で提供します。この日のおすすめは「カワハギ」(900円)。日本酒と一緒にいただきましょう。淡泊なカワハギは濃厚な肝醤油との相性が抜群で、どんどんお酒が進む味。
そのほかにも、「アジフライ」(470円~)や冷たいなめろう茶漬けのような「水なます」(920円)、おすすめの魚を数種類使った「漬け丼」(880円)、冬季限定の「舟武なべ」(1,700円)、肝味噌仕立ての「あんこうなべ」など(1,800円)、魅力的なメニューが勢揃い。掘りごたつの座敷があり、大人数の宴会にも便利です。
「『おいしいお魚をたくさん食べてほしい』という思いで、お手頃価格で提供しています。量や調理法などのリクエストにもお応えしているので、お気軽にご相談くださいね」と佐々木さん。東京でおいしいお魚を食べたい方は、ぜひ舟武自慢の魚料理をご賞味ください。
釣り魚の店 舟武 ・住所 東京都品川区旗の台5-7-9 ・TEL 03-3785-1719 ・営業時間/定休日 17:00~24:00/なし(盆・正月等を除く)
5. 昼は弁当屋・夜はバー兼定食屋! 2つの顔をもつ不思議なお店「さかえや」
最後に紹介するのは、旗の台から徒歩1分、三間通りの北千束方面に位置する「さかえや」。舟武店主・佐々木さんが「お昼はお弁当屋さん、夜はバーのような居酒屋のような……」と紹介してくれた同店。当企画を締めくくるのにふさわしい、一風変わったお店です。
正面が弁当屋、奥がバーになっていて、朝から夜までは弁当屋、夜から翌朝まではバーが、入れ替わり制でオープン。弁当屋は荻野晴治さん・富士子さん夫妻が、バーは息子の大輔さんが営みます。
かつては弁当屋一筋だったさかえやですが、店舗奥のスペースを有効活用するべく、大輔さんが2016年10月にバー兼定食屋をオープン。「バーなのにお弁当屋さんの惣菜を使った定食が食べられる」「深夜でも手作りのおかずがある」と話題を呼び、すっかり地元で愛されるお店となりました。
夜の人気メニューは「からあげ」(550円)と「しょうが焼き」(550円)。定食でもおかず単品でもオーダーできて、お酒と一緒に注文する人が多いそう。
お酒のおすすめは「レモンサワー」(460円)と「梅干しサワー」(550円)。どちらも焼酎ベースで甘さ控えめ、炭酸強めのすっきりとした味わいです。しっかり味つけされたジューシーなからあげとの組み合わせはたまりません。
昼のおすすめは、野菜たっぷりのしょうが焼きと人気のからあげが同時に楽しめる「すたみな弁当」(650円)。ご飯が進む味つけで、モリモリ食べられます。そのほか、「おろし和風唐揚弁当」(520円)や「ちゅうか春巻き弁当」(650円)なども人気。お弁当は作り置きせず、その場で調理してくれるので、いつでもできたてが食べられます。
店主の大輔さんは「深夜に手作りのおかずを食べられる店はあまり多くありません。こんなメニューが食べたい、量を少なめにしてほしいなどのリクエストにも柔軟に対応できますよ」と教えてくれました。
大輔さんは、同店を経営するかたわら、飲食店関係者同士のコミュニティ「旗飲」を立ち上げ、「からいひ」「かれーのひ」などの地域イベントを主催しています。
「自分のお店だけでなく、旗の台全体を盛り上げていきたいですね。さかえやに来ていただければ、いろんなお店を紹介できます。観光案内所のような感覚で気軽に立ち寄ってくださいね」と語る姿に、旗の台への熱い思いがにじみました。
さかえや ・住所 東京都品川区旗の台5-3-5 ・TEL 03-3781-0859 ・営業時間/定休日 <弁当屋> 10:00~20:00/日曜・祝祭日 <バー・定食屋> 21:00~翌5:00/不定休(基本は日曜・第2土曜)
どのお店も個性豊かで、お客さんにあたたかく寄り添ってくれる街・旗の台。次のお休みはぜひ旗の台まで足を伸ばし、名店をめぐる街歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか。
取材・文:小晴 編集:松尾奈々絵(ノオト)
※店舗メニュー及び価格は、2020.2.21公開時の情報です。