味の違いに驚き!品川の焼き芋名店4選
第四次焼き芋ブームの真っ只中、品川が新たな「焼き芋の聖地」として注目を集めています。味わえるのは、昔ながらのホクホク系から濃厚な舌触りのトロトロ系まで、イメージを大きく変える絶品ばかり。
今回は品川区内で営業する人気焼き芋専門店から4店舗をピックアップ。市場になかなか出回らない希少品種、お芋の甘さを極限まで引き出す独自技術、「えっ、こんな食べ方があるの?!」と思わず驚く調理法……。シンプルだけど奥が深い焼き芋ワールド・品川をご案内します。(2021.1.29公開、2023.5.2追記)
1. 蜜でお芋がヒタヒタに!? 民家ガレージで営業する超有名店「超蜜やきいもpukupuku」(西大井)
最初にご紹介するのは、JR西大井駅から徒歩6分の「超蜜(ちょうみつ)やきいもpukupuku(プクプク)」。閑静な住宅街の一角にある、ごく普通の民家のガレージで営業しています。そのひっそりとしたたたずまいは、気をつけていないと通り過ぎてしまうほどですが、全国から焼き芋ファンが飛行機や新幹線を乗り継いで訪れるほど人気な「聖地」として知られています。
看板メニューの「超蜜やきいも」(1本500円・税込)はその名のとおり、中からたっぷりの蜜があふれ出た焼き芋。一口かじると、まるでチーズケーキのようなしっとりとした食感と、口の中にあふれる濃厚な蜜にビックリ!その斬新すぎる味わいは「えっ、これ本当に焼き芋なの?」とびっくりすること間違いなし。
その秘密は、店主の須藤武士さんが10年以上の歳月をかけ、焼き窯の設計から考え抜いた独自の焼き技術。熱の伝わり方を工夫することでお芋のでんぷんを最大限に糖化させ、ほんのりカラメル色のシロップのような蜜をお芋自身から引き出します。
そのスゴさは蜜で芋全体がヒタヒタに浸かってしまうほど。蜜ごとじっくり楽しみたい方には、お土産に便利な真空パック(1本550円・税込)や「冷凍焼き芋」(1本550円・税込)もあります。
軽やかな雰囲気と焼き芋職人としてのストイックな雰囲気をあわせ持つ店主・須藤さんの飄々としたキャラクターも人気のひとつ。お芋への愛情と探究心の深さはすさまじく、一度語りだしたら1時間は止まらないほど。現状に飽き足らず、常に新しい焼き芋の味わい方を研究し続けています。
いまだかつてない「未来系焼き芋」の最先端が味わえる、知る人ぞ知る住宅街の名店。ぜひ体験してみてください!
超蜜やきいもpukupuku ・住所 〒140-0015 東京都品川区西大井2-5-15 ・電話番号 03-3775-3776 ・営業時間/定休日 月曜・金〜日曜 10:00〜20:00/火〜木曜 ・URL https://pukupuku-yakiimo.stores.jp/ ・テイクアウトのみ
2. “ももんが”のいる焼き芋屋さん 希少な品種も味わえる「壺やきいも ももんが」(戸越公園)
※今季の営業は2023年3月下旬に終了しています。来季の営業情報はSNS(Instagram/Twitter)よりご確認ください。
東急大井町線・戸越公園駅、JR西大井駅から徒歩6分の住宅街にある「壺やきいも ももんが」は、2020年12月に開店した焼き芋専門店。
「日本でいちばん野菜を作る街」として知られる茨城県鉾田(ほこた)市産の希少な品種「ひめあやか」(Sサイズ:1本350円、Mサイズ:1本450円・ともに税込)を筆頭に、さわやかで強い甘さとねっとりした食感が特徴の「紅はるか」(Sサイズ:350円、Mサイズ:1本450円・ともに税込)のほか、時期にあわせて厳選した日替わり品種を販売しています。
(※注:「ひめあやか」は新型コロナにともなう緊急事態宣言の影響で、2020年1月18日現在入荷未定)
陶器製の大きな壺のふちにお芋を吊るす「壺焼き」と呼ばれる技術で、直接お芋を火に当てず、最低でも2時間じっくりと熱を当て続けることによって、お芋の甘さを引き出します。
「焼き芋のおいしさを握っているのは、農家さんが大切に育てたさつまいもそのもの」と話すのは店主の佐々木瞳さん。「人間に個性があるように、さつまいもにも1本1本の個性があります。柔らかさを常にチェックしながら、丁寧にひとつずつ向き合って焼き上げます」とこだわりを見せます。
店頭販売の際には、大きなキャンディを思わせるキュートな包み紙でラッピング。包みを開けるワクワクが楽しめるのも、「ももんが」の魅力のひとつです。
さらに、ひときわ目を引くのがお店の看板キャラクター、「ひめあやか」の名前が由来である、ももんがの「あや」ちゃん。耳・鼻・尻尾はさつまいもの形をしており、全体はひめあやか色。オリジナルソングとともに現れると、目の前の公園から子どもたちがワッと店先に集まるほどの大人気ぶりです。
「ももんが」が売る焼き芋屋さん、全国探してもきっとココだけのはず……。(※「あや」ちゃんの登場は土日限定です)
壺やきいも ももんが ・住所 〒142-0043 東京都品川区二葉3-1-23 ・電話番号 03-3784-2376 ・営業時間/定休日 11:30〜17:00(完売次第終了)/月・火・水曜 ・URL https://tsuboyaki-imo-momonga.com ・テイクアウトのみ ※販売品種や数量は仕入れ状況によって変動あり。Webサイトを確認してください
3. ホクホク系からとろ〜りクリーミーな舌触りの焼き芋まで味わえる「銀六いも」(戸越銀座)
戸越銀座商店街をはじめ、品川区内のさまざまな場所で移動出店している「銀六いも」。おしゃれなカフェスタンドに、あざやかな色の壺が目印です。
昔ながらのホクホクとした食感で根強いファンの多い「紅あずま」(小:450円、中:600円、大:750円・ともに税込)や、強い甘みとさわやかな酸味のバランスが楽しめる「紅はるか」(価格同)などを販売。
なかでも「シルクスイート」(価格同)は、スプーンですくえるほどにクリーミーな中身と、カスタードを思わせるようなトロ〜リとした甘さが特徴。いつまでもゆっくりと舌の上で味わっていたくなるような夢心地に。
店主の柴岡由利子さんが地方にも出向いて「一目惚れした」という、職人さん特製の壺に炭を入れ、じっくり時間をかけてお芋の中心まで熱を通して焼き上げる「つぼやきいも」のスタイルで提供。
焼き上がったお芋は壺の上の鍋で保温し、熱々の状態で提供。「皮ごと食べていただきたい」という思いから、皮が焦げないよう、焼く温度や時間をひとつずつ丁寧に管理しているのだそうです。
もともとは音楽業界でイベントの宣伝を担当していたという柴岡さんは、さまざまな焼き芋を食べ歩いたなかで壺焼き芋の味わいに感動し、焼き芋屋さんに転身したという異色な経歴の持ち主。
「こういうお芋が食べたい、というお客さんの要望を聞きながら、焼き芋にしておいしいお芋を探しています」と、焼き芋を求めるお客さんに寄り添った取り組みを続けていると言います。
生まれも育ちも戸越銀座の柴岡さん。店名の「銀六いも」は、関東大震災後に戸越銀座商店街の一番東側に「銀座六丁目」(東京)のレンガを道に敷いたという歴史にちなんだもの。「壺焼き芋の文化と『銀六』の名前を未来に残していきたいです」と、ほほえみながら語ってくれました。
銀六いも ・住所 戸越銀座商店街 軒先(〒142-0042 東京都品川区豊町1-4-16 アジュール戸越)ほか ・電話番号 なし ・営業時間/定休日 土・日曜日 13:00〜17:00 ほか/不定休 ・URL https://www.instagram.com/ginrokuimo/ ・テイクアウトのみ ※日によって営業場所が異なります。詳しくはお店のSNSを確認してください
4. 【閉店】栗のようなホクホク食感! 徳島県のブランド芋「なると金時」を堪能「DAN Potato CAFE」(戸越銀座)
※「DAN Potato CAFE(ダンポテトカフェ)」は、2023年1月に閉店しました。
東急池上線・戸越銀座駅から徒歩5分、星薬科大学のほど近くにある「DAN Potato CAFE(ダンポテトカフェ)」は、さまざまなかたちでさつまいもの魅力を堪能できるカフェです。
メニューは、栗のようなさわやかな香りとホクホクとした食感、上品な甘さを持つ徳島県産のブランド芋「なると金時」をはじめ、スイートポテトや焼き芋アイス、パフェ、シェイクなど。素材の持ち味を最大限に生かした調理法の数々は、「こんな食べ方があったんだ!」と驚きと発見を与えてくれます。
「焼き芋アイス」(450円〜・税込 ※お芋の種類は時期によって変わります)は、皮までおいしい焼き芋にふんわりとした甘さのアイスを添えた逸品です。
取材に訪れた日にいただいたのは、徳島県鳴門市の海沿いの地域・里浦で生産されている「なると金時 里むすめ」の焼き芋。一口かじると、栗のような甘くふんわりとした香りが鼻に抜けていき、そのあとに残る上品な甘さがなんともいえない心地よさです。
「ぽてプレート」(480円・税込)は、職人さんがひとつひとつ丁寧に手づくりしたスイートポテトが楽しめる一皿。プレーン・アップルシナモン・ビターチョコ・マッチャの4つのフレーバーから好きな2つを選ぶことができます。
写真は、プレーンとアップルシナモンの2つ。プレーンはクリーミーな舌触りと確かなお芋の香りがお互いに高め合い、アップルシナモンは、なると金時の持つフルーティーな風味をより鮮やかに引き立ててくれます。
見るだけでも楽しげな雰囲気の「ぽてサンデー」(750円・税込)は、ホクホクの焼き芋をヨーグルトベースのパフェに仕立てた一品です。なると金時ならではの上品な甘さとさわやかな酸味のフローズンヨーグルトの相性は抜群! クリスピー感たっぷりのコーンフレークがリズムを添えてくれ、最後の一口まで飽きのこない味です。
「スイーツとしてのさつまいもの魅力をぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです」と、スタッフの嘉神春那さん。「地元のみなさんに支えていただいているお店です。お近くにお立ち寄りのさいは、ぜひのぞいてみてくださいね」と笑顔を見せます。
DAN Potato CAFE ・住所 〒142-0051 東京都品川区平塚2-11-12 ・電話番号 090-4679-5473 ・営業時間/定休日 11:00〜19:00(9:00〜11:00は予約のみ) ・URL https://www.danpotato.com/ ・一部テイクアウト対応メニューあり、Uber Eats対応
(※注:2020年1月18日現在、新型コロナにともなう緊急事態宣言により、営業時間が変更となっています。詳しくは店舗のWebサイトを確認してください)
5. 4店舗それぞれの「焼き芋愛」をダイレクトに味わう面白さ。焼き芋に“ビックリ”しよう
今回取材を経てもっとも印象に残ったのは、4店舗のみなさんが語ってくれた焼き芋へのひたむきで情熱的な愛。
焼き芋の味に感動してお店を立ち上げたご主人もいるように、絶品の焼き芋と出会って感じた「焼きいもって、こんなに味わえるんだ!」という発見と喜びをそのまま舌で味わっているのでは? と思うほどに、4店舗の味は焼き芋に対するイメージを塗りかえる新鮮な味に満ちていました。そう、人の数だけ、焼き芋の味って、変わるんです……!
「焼き芋」というひとつの名前だけでは説明しきれない、銘柄ごと、焼き方ごと、アレンジごとに生まれる風味の違いに、ぜひあなたもビックリしてみては?
※記事中の店舗情報は2021年1月中旬時点の内容です。店舗の営業時間、提供内容は変更となる場合がありますのでご了承ください。 (2021.1.29)
(取材:天谷窓大 編集:鬼頭佳代/ノオト)