東京・品川区 いま食べたい「あんぱん」
朝ドラを観ているとついつい食べたくなる「あんぱん」。品川区には、老若男女問わず地元の人々やパン好きを魅了する あんぱん のお店が数多く存在します。あんこ好きも、パン好きも、ぜひ「推しのあんぱん」を見つけてください。(2025.6.27公開)
1. 独自の酵母が生み出す味わい深いもっちり生地「ヤマトラ」(中延)

東急大井町線・中延駅から徒歩2分、なかのぶスキップロードを進むと、爽やかな青緑色の外観が目を引くベーカリー「ヤマトラ」。
ヤマトラを手がけるのは、長年に渡り都内屈指のパン屋「イトキト」(大岡山)などで技術を磨いてきた山下シェフ。天然酵母への情熱を胸に試作を重ね、2024年に自身の理想の味を追求したお店をこの地にオープンさせました。

パンに使用する天然酵母は自家培養発酵種。酵母液づくりから元種(発酵種)まで10日間かかり、そこからパン生地づくりが始まります。その過程には約10年もの研究と改良の積み重ねがありました。
ヤマトラのパンを噛みしめると、山下さんのこだわりが、どのパンにも奥深い味わい・豊かな香りとなって表れています。

店内に並ぶパンの種類は、なんと常時25種類以上!定番の食パンや惣菜パン、サクサク生地のクロワッサン、シナモンロールなどの甘いパンまで、豊富なラインナップが揃っています。
季節のメニューや限定商品など少しずつラインナップが変わるので、いつ訪れても新しい発見があります。パン生地だけではなく、挟む具材やトッピングの食材まで一つひとつ丁寧に手作りされているため、どれも個性あふれる味わいです。

今回購入した「あんぱん」は、自家製つぶあんをたっぷり包んだ「自家製つぶあんパン」(300円)と、季節限定の「白玉入り ずんだあんぱん」(420円)の2種類。


ふっくらとした生地の中に、独自のゆで方で粒感を少し残してふんわりゆでた小豆あんが詰まっており、その甘さは控えめ。小豆そのものの自然な風味が活きており、トッピングされた香ばしい黒ごまがアクセントとなり、噛みしめるたびに香りと食感が一体となり広がります。


「白玉入り ずんだあんぱん」は、つぶあんパンより柔らかい食感の生地。香り高い“ずんだ”がたっぷり入っており、甘さと軽やかさのバランスが絶妙で、見た目にも楽しい一品です。
このほかに、土曜日限定の「黒ごまあんぱん」や、春には「さくらあんぱん」、新年限定の「黒豆あんぱん」など、季節やイベントごとに登場するユニークなあんぱんも人気。今後も新しい“あん”を使った創作あんパンが店頭に並ぶ予定で、お目当てのファンが増えそうな予感です。


お店のイチオシは「クロワッサン」や「イタリアンサンド」とのこと。
「クロワッサン」(340円)は、パリッとしたクラスト(外側)ともちふわなクラム(内側)の食感のコントラストが特徴的。「ポルケッタサンド」(530円)は、オリーブオイルが練りこまれたチャパタで、ジューシーなポルケータ(ローストポーク)やきのこのソテーなどをサンドしており、ボリューム満点。重なり合う具材でひと口ごとに味わいが変化する一品です。

日常使いのパンから、おもたせなど特別な日の一品まで、幅広いシーンで活躍してくれそうなヤマトラのパン。毎日通いたくなる理由が、この小さな店の至る所に詰まっています。
店名 | ヤマトラ |
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住所 | 〒142-0052 東京都品川区東中延2丁目10−19 Villa East N 1F |
電話番号 | 03-4400-2195 |
営業時間 | 10:00〜17:00(売切次第終了) |
定休日 | 月・火・金 |
URL | https://www.instagram.com/yamatora2024/ |
2.ふんわりやさしい口どけパンとあんこの絶妙なバランス「Cafe Lotty」(立会川)

京急線・立会川駅を降りて徒歩すぐ、地元の住民や観光客に親しまれている「カフェ ロティ」は、こだわりのパンとスペシャルティコーヒーが楽しめるカフェベーカリーです。
素材選びから製法、商品開発まで一貫してオーナーのこだわりが詰まったパンを味わえます。

カフェ ロティの代名詞とも言えるのが、小麦と豆乳、塩だけをシンプルに使い、オリジナル製法で焼き上げる「ロティフランス」。シルキーな食感と小麦の風味の豊かさが特徴です。また、「自家製フルーツのロティフ」は、じっくり漬け込んだあんずやレーズン、香ばしいローストくるみをたっぷりと練り込んだ、贅沢な素材感が味わえる一品。

さらに、地元・立会川の名物を取り入れた「龍馬の足跡パン」(320円)は、ここだけでしか出会えないスペシャルなパンとして密かな人気を集めています。このパンは、しながわ観光協会が認定する「しながわみやげ」に選ばれており、手土産としても喜ばれます。

多くのお客様が「龍馬像といえばブーツでは?」と尋ねてくるものの、実は立会川の龍馬像は20歳頃の草履姿。そのため、足跡パンはひとつひとつ手作業で足形のパンを成形しており、ユニークな見た目とともに細やかな職人技が光ります。


この「龍馬の足跡パン」は、やわらかくてほのかに卵の香りが漂う生地が特徴で、2種類のフィリングが左右で異なります。
右足にはなめらかなカスタードクリーム、左足には上品な甘さのこしあんが入っており、一つで二つの味が楽しめるのが魅力です(片足ずつの購入も可能)。
カスタードにもこだわりの卵を使い、素朴ながらコクのある優しい味わいを引き出しています。あんこも甘さを控えめにしており、誰もが食べやすいよう工夫されています。

また、カフェロティ自慢のドリンクといえば、アラビカ種100%のスペシャルティコーヒー。香り高く雑味がなく、どのパンとも相性抜群ですが、特に「龍馬の足跡パン」と一緒に味わうと、パンの甘さとコーヒーの苦味が絶妙に調和し、朝食や午後のひとときにもぴったりです。暑い季節にはアイスコーヒーのセットもおすすめです。


また、「十勝あんぱん」(180円)も忘れてはならない定番パンです。こちらは、「龍馬の足跡パン」と同じふんわり生地に、北海道・十勝産の小豆を使ったつぶあんをたっぷり包んだパン。小豆そのものの味わいと、粒の食感がしっかり楽しめる一品で、年代問わずお子さまや年配の方も食べやすい優しい甘さに仕上げられています。

店内には惣菜パンやサンドイッチといったランチ向けのパンも種類豊富で、幅広いラインナップを揃えています。2階には天窓からの明るい光が差すイートインスペースがあり、焼きたてのパンや淹れたてのコーヒーをゆったりと味わうことができます。
立会川エリアを訪れたら、観光の合間や地元散歩のついでに、ぜひ「カフェ ロティ」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
↓ 過去の特集記事も併せてチェックしてみてください。
店名 | Cafe Lotty(カフェ ロティ) |
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住所 | 〒140-0011 東京都品川区東大井2-23-2 |
電話番号 | 03-3768-4324 |
営業時間 | 平日/7:00〜19:30 土曜/7:00〜14:00 |
定休日 | 日 |
URL | https://www.instagram.com/cafe_lotty/ |
3.種類豊富で選ぶのが楽しい!気軽に店先で購入できる「こみねべーかりー」(武蔵小山)

武蔵小山商店街パルムの東側の入り口近くに店を構える「こみねべーかりー」は、昭和の時代から半世紀以上にわたり地元の日常に寄り添ってきた、品川区が誇る老舗のパン屋さん。

パルムの長いアーケードを歩いていると、ひときわ賑わいを見せるお店の前に、ガラス越しにキラキラと美しく並ぶパンのショーケースが現れます。
朝の通勤・通学時や、午後のひと休みを求めて大人から子どもまで多くの人がここを訪れ、パン選びに夢中になる光景は、まさに地域の生活の一部と言えるでしょう。

ショーケースには、ノスタルジーを誘う定番のあんぱんや甘食、ドーナツのほかに、「ピスタチオあんぱん」や「ゆずあんぱん」といった現代的なアレンジが光るユニークな商品も揃っています。いずれのパンも、手作りならではの微妙な形や大きさの違いがあり、ショーケースを眺めながら「今日はどれにしようか」と選ぶ時間すらワクワク感が増します。
店舗奥にはレジカウンターもありますが、ショーケースで直接会計を済ませてパンを受け取れるため、気軽に立ち寄れる点も人気の秘密です。


なかでも人気を集めていたのが、黒ごまの香りが食欲をそそる「ごまあんぱん」(162円)。パリッとした薄皮生地の中には、しっとりとなめらかなごまあんがたっぷり包まれていました。ほどよい甘さと、黒ごまの芳ばしい香りが口の中で広がり、何個でも食べられそうな軽さに驚かされます。


「つぶあんぱん」(162円)は、小粒のふんわりとした小豆と薄皮パンの持つやわらかな食感が調和。しっかりとした豆の香りと風味が、昔ながらの懐かしさを感じさせながらも飽きの来ない美味しさです。


一方、「こしあんぱん」(162円)は、なめらかで程良い甘さが上品に広がり、口に入れた瞬間ほろりとほどける軽やかさが魅力。どちらのあんぱんも、シンプルに牛乳とあわせて楽しむと、昭和時代にタイムスリップしたような懐かしさを感じます。
老舗として伝統の味を守るだけでなく、新しいアイデアや素材を取り入れる柔軟性が、幅広い世代に愛され続ける理由でしょう。日常使いのおやつや食事パンから手土産まで、「こみねべーかりー」は地域の人々の暮らしのさまざまなシーンに溶け込んでいます。
↓ 過去の特集記事も併せてチェックしてみてください。
店名 | こみねべーかりー |
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住所 | 〒142-0063 東京都品川区荏原3-5-11 |
電話番号 | 03-3783-2068 |
営業時間 | 7:00〜20:30 |
定休日 | なし |
4.地元で人気!懐かしい昭和サイズの薄皮あんぱん「アンファン」(下神明)

東急大井町線・下神明駅や品川区役所からほど近い、三間通りにある「アンファン」は、地元の人々に長年親しまれてきた老舗のパン屋です。
昭和時代の面影を色濃く残すその店構えは、今ではむしろ新鮮な魅力となり、温もりを感じさせるノスタルジックな雰囲気に惹かれて訪れる人もいるほど。早朝から焼き立てのパンがずらりと並び、朝早くから忙しく働く地元の社会人や学生の「朝ごはん」や「おやつ」を支え続けています。

1日を通して常時20種類以上ものパンが並びます。冷蔵ショーケースの中には、ふんわりコッペパンに焼きそばやたまごなどの具材をたっぷり挟んだ「焼きそばドック」や「玉子ドック」、昔ながらの素朴なサンドイッチなど、変わらぬ味が今もしっかりと守り続けられています。
個人経営のベーカリーでありながら、飽きのこない工夫や定番の味へのこだわりは、世代を問わず支持されている理由です。

昼過ぎに店に行けば、人気ゆえにほとんどのパンが無くなりかけており、3分の1ほどしか残っていないことが珍しくありません。「夕方前にはほぼ完売」と店員さんが話すほど、多くのお客さんが午前中のうちに目当ての商品を求めてやってきます。
中でも名物の「おぐらあんパン」(250円)は開店からしばらくすると売り切れてしまうことも多く、筆者も手に取ることができませんでした。運良く「こしあんパン」(250円)があったので購入しました。


「こしあんパン」の魅力は、まずずっしりとした重量感に驚かされることから始まります。ほとんど手のひらいっぱいの大きさで、まるで「パンを食べる」のではなく「餡を食べる」ためのパンと言いたくなるほど、皮は極限まで薄く、中はあんこがたっぷりと詰め込まれています。
中のこし餡は甘さがあり、しっとり感とツヤがあります。「昔ながらのあんぱんが好き」という方なら誰もが満足することでしょう。
また、アンファンのパンはどれも柔らかく、噛みしめるごとに優しい味わいが口いっぱいに広がります。そのため、お子さん連れのお母さんやお年寄りも安心して購入できる点が魅力です。
地域に根ざし、毎日の食卓に小さな幸せを届けてくれる「アンファン」は“昭和ベーカリー”の温かみを今も感じられる、貴重な存在です。
↓ 過去の特集記事も併せてチェックしてみてください。
店名 | アンファン |
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住所 | 〒142-0043 東京都品川区二葉1丁目16-19 |
電話番号 | 03-3788-0995 |
営業時間 | 6:30〜18:00 |
定休日 | 木・日・祝日 |
気になるあんぱんはありましたか? さまざまなあんぱんを食べ比べることで、パン屋ごとの個性や歴史、作り手の想いに気づくことができます。ぜひいろいろなパン屋さんのあんぱんをお試しください。
※パンの価格は税込表記です。
※記事中の店舗情報は2025年6月中旬の内容です。店舗の営業時間、提供内容は変更となる場合がありますのでご了承ください。
取材・撮影・文
アライミナミ(makuri)