大森を散歩中に立ち寄りたい5店
品川区と大田区の境である大森エリア。10月1日からは品川区・大田区による街歩きイベント「品川×大田 旧東海道でつながるまちwakuwakuラリー~大森編~」が開催されます。しながわ水族館や品川歴史館など地域のキースポットが点在する大森を歩きながら、ランチや休憩でおすすめの5店を紹介します。(2024年9月18日公開、2024.9.25更新)
1. 手作り点心と蒸し野菜、中国の家庭料理をめしあがれ「Cc点心」
京急本線・大森海岸駅から徒歩5分、しながわ水族館近くに店を構える「Cc点心」にやって来ました。
2024年にオープンした同店。お店を営む西貝博実さんは中国の哈爾濱(ハルピン)出身で、季節の食材を使った中国の家庭料理を提供します。
お子さんが生まれたことで食材や食事の作り方にこだわるようになったという西貝さん。友人に料理を振る舞って大好評だったことがきっかけとなり、「日本で暮らす人にも中国の家庭料理を味わってもらいたい」とお店を始めました。
ランチセット(各1,200円)は、焼き餃子・水餃子・よだれ鶏・ワンタンからメインを選べます。今回は水餃子セットをいただきました。せいろで蒸された野菜やもち米のシューマイなどが付いて、彩り鮮やかですね。
餃子やワンタンの中身は、エビやニラ、豚肉、季節の野菜などから好みの具材を選べます。手作りする肉厚な皮で包んだ点心は、もちもちで食べ応えばつぐんです。
「点心の中身は季節ごとに変わります。旬のものを存分に味わってほしいです」と西貝さん。
落ち着いた雰囲気と手作りのおいしい点心が味わえる同店。近くにしながわ水族館があり、遊んだ帰りに立ち寄ってくれるお客さんも多いとのこと。中国の家庭料理をお腹いっぱいいただいてみては。
Cc点心 ・住所 東京都品川区南大井2-11-4-102 ・電話番号 03-4500-0510 ・営業時間 11:30~14:00、17:00〜21:30(日曜は11:00〜16:00) ・定休日 木曜 ・URL https://www.instagram.com/cctenshinn/
2. ベビーカー・愛犬OK! お肉が自慢の洋食店「レストラン西堀」
JR大森駅から徒歩10分、桜新道(さくらしんみち)沿いにある「レストラン西堀」。戦後まもなくの精肉店の創業を経て1966年に開業された、肉料理が自慢の老舗洋食レストランです。
入店し、さっそくおすすめを聞いてみると、常連さんから「チキンの香草焼きがいいよ!」との声。快活な女将さんと常連さんの楽しげな会話のキャッチボールを聞きながら、「レストラン西堀」ならではの温かさに和やかな気持ちになります。せっかくなので「チキンソテー(香草)」(1,200円)を注文してみました。
運ばれてきたのはジューシーな鶏の脂がピッカピカに輝いたチキンソテー! 創業当時からのオリジナルドレッシングを使ったサラダや、ごはんとみそ汁もセットでついてきます。
パリッと焼かれたチキンソテーにナイフを入れてみると……チキンの下からセロリが現れました! ローズマリーで味付けした鶏もも肉に、セロリの香りが引き立ちます。
お肉はしっとりと柔らか。シンプルな味付けでさっぱりといただけました。さすが、常連さんが太鼓判を押していた一品です。
広々した店内は、ベビーカーでの入店を歓迎、ワンちゃん同伴もOKです。自身も子育て中の愛犬家である店主・西堀さんは、その理由を教えてくれました。
「娘が小さい頃はどこへ行くにも苦労したので、10年前くらいからベビーカーOKとしました」
「ワンちゃんOKとしたのは2023年の9月でしたね。これも、愛犬のミルクを連れて旅行したとき、犬が入れるお店が少なく大変だった体験から思いつきました。お子さまやワンちゃんがいる人は苦労することも多いと思いますが、うちの店にいるときくらいは気兼ねなく過ごしてもらえたら、という思いでやっています」
最近では、お店の2階を会場として提供し、不定期で保護犬の譲渡会が開催されることもあるそうです。
「レストラン西堀」がオープンした翌年に生まれた西堀さん。お店とともに、大森の街で育ってきました。かつては自営業の路面店が多く、高い建物は少なかったため、お店が入るビルからJR大森駅の線路が見えたんだそう。大きく変わった大森で今もお店を続けられている秘訣は、「しぶとさかな」と西堀さんは照れくさそうに笑います。
老舗レストランでありながら堅苦しくないお店の雰囲気は、西堀さん自身の経験と柔軟な考えからなるもののように思えました。これからも「レストラン西堀」はみんなが通いやすく過ごしやすいお店へとアップデートしていくのかもしれません。
レストラン西堀 ・住所 東京都品川区南大井3-1-1 ・電話番号 080-1333-6677 ・営業時間 11:15〜14:00 (L.O. 13:30)、18:00〜21:00 (L.O. 20:00) ・定休日 土曜・日曜・祝日は不定休 ・URL https://nishibori1966.hungry.jp/
3. 江戸時代から続く伝統の味、更科そばをいただく「布恒更科」
京急本線大森海岸駅から徒歩5分、マンションが立ち並ぶ住宅地の一角に「布恒更科」はあります。
江戸時代に創業した「更科」は、「藪」「砂場」とともに「蕎麦御三家」と呼ばれる老舗そばの一門。1963年に開業した「布恒更科」では、現店主の伊島巧さんがお店の味を守っています。
「大森はかつて花街で、僕が子どもの頃は小唄や日本舞踊を教える先生が多くいました。当時は瓦屋根の店や家が立ち並んでいましたが、今ではほとんど見なくなりましたね」(伊島さん)
店構えに古き良き大森の風情が残る同店でいただくのは、お店の名前を冠した看板メニュー「御膳更科そば」(1,210円)です。
同店が使う更科粉は江戸時代にお殿様へ献上されていたもので、デンプン質が多く甘みを感じられる味わい。ワサビとネギ、大根おろしとともにどうぞ。
つけ汁は黒に近い濃い色をしており、白色のそばとのコントラストが目を引きます。2種類のかつお節に長野県産のたまり醤油を加えたもので、「本節で品良く仕上げ過ぎても味が物足りなくなってしまうので、パンチ力が出るようにかめ節をブレンドしています」と伊島さん。
柚子やレモン、トマトやバジル、海苔など旬の素材を麺に練り込む「季節の変わりそば」(1,260円)や、栄養価の高い「生粉打ち(十割蕎麦)」(1,260円)も提供する同店。江戸時代から続く伝統の味を味わってみてはいかがでしょうか。
布恒更科 ・住所 東京都品川区南大井3-18-8 ・電話番号 03-3761-7373 ・営業時間 11:30~15:00(L.O.14:40)、17:00〜20:00(L.O.19:50) ※祝日は 11:30〜15:00(L.O.14:40) ・定休日 日曜 ・URL https://nunotsunesarashina.com/
4. オリジナルの和風ホットドックも! 気軽に立ち寄りたいスタンドカフェ「god dog」
JR大森駅から徒歩5分ほど歩くと、線路沿いにフラミンゴのビニールプールが目を引くお店が見えてきます。スタンドカフェ「god dog(ゴッドドック)」です。
店主の神名康至さんはもともと美容室を営んでおり、お店の窓から街行く人たちをみているうちに「街に貢献できる場を始められないか」と思いついたそう。店舗隣のガレージ跡を西海岸風に改装し、2024年1月にgod dogをオープンしました。
店内はスタンディングで食事をするカウンタースタイルで、壁側には軽く腰掛けられるスタンディングチェアが置かれています。
「犬の散歩ついでに立ち寄る方も多いので、今後はカウンターにリードをひっかけられるリングを設置する予定です。家族連れや子どもだけでなく、犬にも優しいお店を目指しています」(神名さん)
看板メニューのホットドッグは「プレーンドッグ」(600円)、「ゴッドドッグ」(700円)、「ゴッドドッグ DX」(750円)の3種類。プレーンドッグとゴッドドッグは、トッピングでチーズやマスタード、ケチャップなどが選べます。
今回は店主イチオシの「ゴッドドッグ DX」をいただきました。特製の「和辛子ポン酢マヨ」のソースに七味をかけ、ガリと発酵キャベツをトッピングすることでしょっぱさと甘さ、すっぱさがブレンドされ、今まで食べたことのない味わいにびっくり。
片手で食べやすい15cmのコッペパンは、小腹の空いた時に食べたくなるちょうどいいサイズ感です。
北鎌倉ブレンドのコーヒー豆を使用したハンドドリップの「ブレンドコーヒー」(780円)は、浅煎りのあっさりした味わい。god dogのロゴであるイヌのキャラクターがとてもキュート!
フードやドリンクはテイクアウトOK。お店の前にあるベンチや公園で食べるホットドッグも絶品です。大森での散歩の途中に、フラッと立ち寄ってみるのはいかがでしょうか?
god dog ・住所 東京都品川区南大井6丁目17−18 ・電話番号 090-3692-3849 ・営業時間 月曜〜水曜 12:00〜18:00 木曜・金曜 12:00〜22:00 土曜 11:00〜22:00 日曜・祝日 11:00〜18:00 火曜定休 ・URL https://www.instagram.com/goddogtokyo/
5. 大森山王ブルワリーの直営店、ビールやBBQを楽しめる「東京∞景」
JR大森駅の西口から徒歩2分、八景坂沿いのビル3階にある「東京∞景(とうきょうはっけい)」。大森発のクラフトビールを企画・販売する「大森山王ブルワリー」の直営店として、2023年にオープンしました。
クラフトビールの販売や提供はもちろん、子ども連れでも集まれるスポットなのが同店の特徴。店内でさまざまなイベントを開催するほか、テラスにはBBQスペースも設けます。
大森山王ブルワリーの代表・町田佳路さんは結婚を機に大森へ移り住み、地域活動を通して多くの人とのつながりができたそう。地域の魅力を発信し、大森での生活がより豊かなものになるよう、2018年ごろからクラフトビール造りに取り組んでいます。
日によってラインナップが変わるクラフトビールは全部で6種類。大森山王ブルワリーの銘柄を中心に、国内のビールをそろえます。
その中からロゴのデザインが気に入った「KAORU」(300ml:950円)をチョイス。お米や塩を使った銘柄で、清涼感のある香りと程よい苦味が口の中に広がりました。
大森山王ブルワリーのビールは、どれも大森にゆかりのある人物や歴史にちなんだ名前がつけられています。「KAORU」は、文化薫るまち、海風香るまち、そして鉄道事業に尽力し別荘地を山王小学校に提供した井上馨(かおる)に由来。
このほか、レモンが香る爽やかなフレーバービール「SAKU」(280ml:900円)は、馬込文士村に縁のあった萩原朔太郎にちなんでいます。どんなビールがあるのか、ぜひスタッフさんともお話してみてくださいね。
屋外テラスのビアガーデン「アワノニワ」では、BBQセット(4,000円・要予約)やビールの飲み比べセット(2,300円〜)を用意しています。手ぶらで来店してBBQを満喫できるのがうれしいところ。この日も家族連れの団体客が皆さん思い思いに楽しんでいました。
「ビールは一つのきっかけだと考えています。ビールを通して人が集まり、集まった人たちの中でつながりが生まれる。そうやって大森がどんどん楽しい場所になっていけば」と町田さん。
今後は季節限定のビール開発も進めていくそう。ビールやイベントをきっかけに、地域の魅力を発見できるお店です。
東京∞景 ・住所 東京都大田区山王2-2-7 ・電話番号 070-8954-2616 ・営業時間 17:00~22:30(土曜は 13:00〜22:30、第1・3日曜は 13:00〜20:00) ・定休日 第2・第4日曜 ・URL https://omorisannobrewery.tokyo/
古くから人々が暮らしてきた大森。歴史や文化を感じられるエリアながら、気軽に利用できる地域のお店があるのも魅力のひとつです。ぜひ大森での散策を楽しんでみてくださいね。
※記事中の店舗情報は2024年8月の内容です。店舗の営業時間、提供内容は変更となる場合がありますのでご了承ください。
取材・文: 梶原たくま(Cc点心/布恒更科/god dog/東京∞景) 安光あずみ(レストラン西堀)
編集:森夏紀/ノオト