「中延ねぶた祭り」と魅力あふれる商店街を探検!
今年の8月は猛暑が続きましたが、9月もまだまだ暑い日が続きますね。そんな残暑を吹き飛ばす2年に1度の熱いお祭りが「中延商店街(なかのぶスキップロード)」で開かれます。それが、「中延ねぶた祭り」です。
ねぶたの本場・青森からやってくる大ねぶたを筆頭に、都内では最大級のねぶたが夜の商店街を練り歩きます。下町情緒あふれるアーケードで、夜を待ちながら中延の素敵なお店を巡ってみませんか?(2018.09.07公開、2024.09.18追記)
1. 大迫力、都内最大級のねぶたを観よう!「中延ねぶた祭り」
今年で16回目となる中延ねぶた祭り。2011年からは東日本大震災の復興支援も兼ねて、さらにパワーアップしたそうです。
参加者は年々増え、今では1万人以上の観客が訪れます。昼から始まる飲食店フェアとあわせて、お祭り当日の商店街は大勢の人でにぎわいます。
「本場の青森ではねぶたの列と観客までは距離がありますが、中延ではまさに目の前を通ります。その大迫力が魅力のひとつなんです」と話すのは常任理事兼イベント部長の森澤弘光さん。
「アーケードいっぱいの大きさのねぶたは壮観ですよ」と森澤さん。一番大きなねぶたは、青森で使われたものを運んで、当日の朝組み立てるんだとか。
どんなねぶたが来るのかは、当日組み立てるまで森澤さんたちにもわからないそう。当日、一番大きなねぶたのチェックをお忘れなく!
町おこしのために1992年から始まった中延ねぶた祭は、当初は、運営メンバーが手探りでオリジナルのねぶたを作っていたそう。その後、青森県黒石市と青森市の親善観光大使を勤めた佐藤洵一さんが運営に加わり本格化。現在は、本場に負けない盛大なお祭りに成長しました。
「青森ではハネト(ねぶた祭りの踊り子・跳人)の参加にもルールがありますが、中延では自由参加。本場のハネトがその場で踊り方を教えてくれるので、誰でも楽しめますよ」 (※2024年の「 第18回 中延ねぶた祭り」でのハネトの自由参加はありません。)
参加者は肩に鈴をつけて跳ねるので、にぎやかさも楽しさもひとしお。
商店街を駆け抜ける大迫力のねぶたを見ながら、残暑を吹き飛ばしたいですね。外国や他の地域からの参加も歓迎、大募集中です!
【終了】第16回 中延ねぶた祭り ・開催日時 2018年9月15日(土) 17:00〜20:00頃 ・開催場所 中延商店街(なかのぶスキップロード)
2. 歯ごたえにこだわりあり!モダンなお蕎麦屋さん「あけの蕎」
商店街の唯一のお蕎麦屋さん「あけの蕎」は11年前に開店しました。店長は、もともとは洋食レストランのシェフだったという横山純二さん。
店内は若い人も入りやすいようにモダンなデザインに仕上げ、お蕎麦屋さんというよりはカフェのような空間。「自宅の食卓のように、気軽で親しみやすい店作りを目指しました」と言うとおり、おだやかな雰囲気が漂います。
「知人のお店で修行して、そば打ちを覚えたんです」と笑う横山さんがこだわったのは、蕎麦と天ぷらの食感。
こだわりの二八蕎麦(うどん粉とそば粉の割合が2対8)は、甘みの強いそばつゆをしっかり絡めていただきましょう。
厳選した粉と水で打った蕎麦はコシが強く、つるりとしたのどごし。蕎麦のかおりが口いっぱいに広がります。
「徹底して歯ごたえにこだわっているので、エビも一工夫してあるんですよ」と自慢の天ぷらは、衣はサクサク、中は歯ごたえたっぷり。
蕎麦の割り下でいただく天丼は、甘じょっぱさとぷりぷりした食感がやみつきになりそう。
ついつい辛口の日本酒がすすみます。
「このあたりには蕎麦屋がなかったので、近隣の人においしい蕎麦を手軽に楽しんでもらいたくて、地元密着で頑張っています」
大盛りで食べごたえたっぷりのお蕎麦、お腹が空かせて立ち寄りたいですね。
あけの蕎 ・住所 東京都品川区東中延2-6-18 ・営業時間 11:30〜15:00、17:00〜22:00 ラストオーダーは21:30 ・定休日 水曜日 ・電話番号 03-3786-6080
3. あなたの知らない日本酒と出合える「シュウ・サケ・コーポレーション」
なかのぶスキップロードの中ほど、学習塾の入ったビルの1階という、ちょっと変わった場所にあるおしゃれな酒屋さんです。
そんな同店代表の北山秀人さんは、学習塾の塾長であり理科の先生。お店は塾が始まる前の13時から19時までの営業です。
「日本酒の啓蒙に繋がればと思い、最初はこのビルの2階の奥でひっそり始めたんです」
その後、日本酒を保管するための2坪の大型冷蔵庫を導入するにあたって、1階に移動しました。店内にはところ狭しと日本酒のボトルが並びます。
「1年に出合う日本酒は1000種類。そのなかから、良いものや季節のものを厳選しています」と話す北山さんは、利酒師であり日本酒に精通した日本酒学講師でもあるそうです。
日本酒の保管に適した0度に維持された冷蔵庫の中には、日本酒がズラリ。
また、お店では購入だけではなく、100円で30ミリリットルの試飲も楽しめます。
「ラベルを見ただけでは、日本酒の味がわかりません。実際に飲んでみて、気に入ったものを購入してもらうのが一番です。好きな味わいや香りなども気軽に相談してくださいね」
月1回~2ヶ月に1回、日本酒を楽しむための日本酒講座をはじめとしたイベントを定期的に開催しています。
日本酒らしい銘柄から、驚きのフルーティな1杯まで、素敵なお酒との出合いを楽しみたいですね。
シュウ・サケ・コーポレーション ・住所 東京都品川区中延3-7-10 ・営業時間 13:00~19:00 ・定休日 日曜日 ※最新の営業時間はお店へご確認ください。 ・電話番号 070-5459-3781
4. 希少なニホンミツバチで養蜂する「中延日本蜂蜜保存会」
「緑が少ない東京で、はちみつ?」と思わず疑問符が出てしまう人もいるかもしれません。実は公園や緑、花が多い東京都心部では、いくつかのエリアで養蜂が行われています。その一つが中延の「中延日本蜂蜜保存会」です。
現在では生息数が激減した貴重なニホンミツバチを飼い、10年ほど前からビルの屋上で養蜂を始め、現在は年間約70キログラムを生産しています。
今はミツバチが神経質な時期なので、実物を見るのは難しいそう。代わりに保存会を運営する「街のお助けコンセルジュ」理事長の青木弘道さんにパネルでご紹介いただきました。
「ニホンミツバチはとても気難しく、飼育の難易度が高いんです。なので、セイヨウミツバチに比べて10分の1しか蜜が取れません」と青木さん。
採取量がとても少ない中でも特に貴重なのが、1年間巣の中でじっくりと熟成された「熟成はちみつ」です。
ハチの越冬用に残した蜜を、翌年の7~8月にかけて搾ったはちみつは、濃い琥珀色でとろりとしています。優しい甘さが口の中でほぐれていく上品な味わいが特徴です。
ニホンミツバチはさまざまな植物から蜜を集めるため、多層化した複雑な味わいをもつ「百花蜜」と呼ばれるはちみつになるそうです。「ニホンミツバチは片道2キロしか飛べないんです。なので、中延の庭先から集めた正真正銘『中延のはちみつ』なんですよ」と青木さん。
地域によって植物が異なるため、中延のはちみつは中延オリジナルの味なんだとか。
年々減少するニホンミツバチを使った養蜂の試みは海外からも注目を集め、テレビに取りあげられることも。
そんな貴重な「中延 幻のはちみつ」(50グラム=1,400円)は、店頭販売や通販は対応しておらず、中延日本蜜蜂保存会でのみ購入できます。ぜひ、ここにしかない味を楽しみに行ってみてくださいね。
中延日本蜂蜜保存会 ・住所 東京都品川区中延3-7-9 白凰荘101号室 ・営業時間 10:00〜16:00 ・定休日 水曜日 ・電話番号 080-5892-0039
5. 床面積は都内最大級! 地元に愛される染谷家具
「実は個人運営の家具屋の中では、都内で一番広い店です」と話すのは、北邨昭(きたむら あきら)さん。
創業85周年を迎えた染谷家具。昭和8(1933)年に品川区中延に店舗を構えて以来、地域密着型の家具屋さんです。
もともとは桐たんすの製造と販売を主力としていましたが、時代に合わせて様々なインテリアを取りそろえ、現在は介護ベッドなども豊富に展示しています。
「タンス以外にも生活に密着した雑貨をたくさん扱っていたので、今もいろいろと時計などのインテリアや生活雑貨を販売しています」
店頭や1階には籐の枕や畳の座布団、インテリア雑貨も並び、家具と合わせたい細やかな生活雑貨が取りそろえられています。
「この地域の家の大きさに合わせて、ぴったりくるサイズの家具を選んでいます。いい家具を長く使っていただきたいので、要望には可能な限り対応しています」と話すのは北邨さんや職人の皆さん。
「お客さまに『できません』は言わない、とにかくやってみる」がモットー。できるだけご希望にあったカスタムをするという姿勢で、一人ひとりの生活に寄り添った家具選びに、徹底してこだわります。
店内には工房があり、木の香りが満ちています。
「ご購入いただいた家具の修理やリメイクは、何年前のものでも対応しています。もちろん、桐たんすの製作や削り直しも行っていますよ」と北邨さん。
その精神は、嫁入り道具として一生大切に使われる桐たんすのお店ならでは。現在も美しい木目のたんすが並んでいます。
「桐たんすは賢いんです。湿気が多ければ吸い、乾いてくれば吐き出す。そうやって中のお着物を大切に何年でも守るんですよ」と北邨さん。
削り直せば、新品同然に蘇る桐たんす。その良さはどれほど時代が変わっても変わりません。
長年家具を見続けた熟練のインテリアコーディネーターが在籍しているので、一生物の家具をそろえるなら一度は足を運びたいお店です。
染谷家具 ・住所:東京都品川区東中延2-10-17 ・営業時間:10:00〜19:00 ・定休日:水曜定休 ・電話番号:03-3786-0029
6. ゆっくりくつろぎたいなら「呑処 鯱」へ 店主のきまぐれサービスが楽しい
※「呑処 鯱」は2024年4月に閉店しました。(2024.5.9)
荏原中延駅からすぐ、大きな人力車が目印の「呑処 鯱」。「ぱっと見て高級そうに見えるけど、そんなことないからいつでも気軽にくつろぎに来て。小さな子供づれも大歓迎」と気さくに話すのは店主の山本義弘さん。
その日に港から直送した新鮮な魚介類を中心にした料理と、全国各地から取り寄せた名酒が並ぶ、ご夫婦で経営するあたたかい雰囲気のお店です。
海鮮はご主人の地元・静岡県の清水港から、本マグロをはじめとしたその日の旬の魚を仕入れています。人気メニューは、「大鯵の開き」や「大トロ丼」、「海鮮丼 三色丼」など。
月・木のいずれか、または両日、ご主人の気まぐれで生ビール・サワー類を一杯390円で提供する日や、日本酒120ミリリットルを特別純米酒=300円、純米吟醸酒=400円、大吟醸酒=5〜700円でいただけるサービスも!
そのほか、定期的にお店でイベントも開催しています。
開店22周年を迎える店は、居心地がよくつい長居したくなる自宅の居間のよう。味はもちろん、人との繋がりを大切にしているお店です。新鮮な魚介に舌鼓を打ちながら、各地の銘酒を楽しみたいですね。
呑処 鯱 ・住所 東京都品川区中延3-2-15 SYビル1F ・営業時間 11:00~24:00 ・定休日 不定休 ・電話番号 03-5702-3033
7. 昭和10年創業、昔ながらの製法を受け継ぐ「豆のさがみや」
100種類以上のこだわり商品が並ぶ豆の専門店「豆のさがみや」は、創業83年の老舗のお豆屋さんです。
看板商品の「あまなっとう」は、店主の小澤紳広さんが良質な豆と水と砂糖だけを使った一品。その日の気温や湿度を考慮しながら、蜜のとろみや火加減、煮詰める時間を微調整しながら作っています。
そんなあまなっとうは、保存料を一切使用していないので、夏場は気温と湿度が高く販売が難しいそうです。「昔ながらの製法を受け継ぎながら、時代に合わせて商品を作っています」と話す小澤さん。
ほかにも、宮城県産の有機栽培米「みやこがね」を使用した「揚げおかき」や、国産最高峰の落花生と言われている千葉県八街産の「千葉半立」を使った「煎りざや落花生」など、品質にこだわり抜いた商品が並んでいます。
懐かしくも今の時代に合わせて作られる商品は、素朴で優しい味わい。小腹がすいたときのおやつにも嬉しいですね。小さなお子さんやお年寄りも楽しめるように、少し柔らかめの商品も用意しています。
お好みのお豆を詰め合わせた箱詰めもあり、お土産にもってこいなので、下町散策を楽しんだ帰りに購入したいですね。
豆のさがみや ・住所 東京都品川区中延3-7-10 ・営業時間 10:00〜19:00 ・定休日 水曜定休 ・電話番号:03-3781-5631
下町情緒溢れる中延の魅力、いかがでしたか?
なかのぶスキップロードは歩いて楽しく食べておいしく、懐かしさと新しさが同居する素敵な商店街です。
大迫力のねぶたと、人情にほっこりするお店の数々。丸一日いても飽きの来ない個性豊かなお店が集まるスキップロードで、夏の終わりのお祭りを楽しんでくださいね。
ライター:猪飼綾 編集:松尾奈々絵(ノオト)
(掲載情報は2018.9.7公開時の情報です)