もう食べた?品川区・注目のパン屋さん
ここ数年のうちに品川区内にオープンしたパン屋さんをご紹介します。ベーグルやバゲットサンドを買って外で食べたり、スイーツのようなパンをお土産用に買ったり、さまざまな場面で使えるバラエティ豊かなベーカリーが勢ぞろい!

1. 台湾で親しまれるパンがずらり!本場の味を日本でも「阿美パン」(旗の台)

東急大井町線、池上線・旗の台駅東口近くにお店を構える「阿美(アメイ)パン」。2020年に荏原町駅近くにオープンし、2024年10月、現在の場所に移転しました。
ぱっと目を引く赤を基調とした店構えと、パイナップルを模した飾りが目印です。台湾出身の店主・游政豪(ユ・チェンハオ)さんが切り盛りしています。ちなみにパイナップルは、台湾では商売繁盛などに関連する縁起物だそう。

高校生の頃、ケーキや点心を作る部活動に入っていた游さん。台中のデパートで日本のベーカリー「DONQ(ドンク)」のフランスパンを試食して、「このパンは本物だ」と衝撃を受けたと言います。
それが原点となって、パティシエとして働いた後、台湾のDONQに転職。日本への留学、ベーカリー勤務を経て、ホテルでパンリーダーを経験するなど、技術を磨いてきました。

パンのバリエーションは約70種類。1日に何度も焼きたてパンを補充します。
現在、注力しているジャンルは2つ。1つはバケットやカンパーニュなど得意のフランスパン。固定客からの予約が多いほか、レストランやカフェにも卸しているそうです。
そして、もう1つの柱が台湾パンです。開業当時は「コロナ禍で帰国できなくなった同胞に台湾パンを食べてもらいたい」という思いから売り始めたものが、日本のお客さんからも人気になり、看板メニューとなりました。

台湾の人なら誰でも知っているという朝食の定番が「シャウピン」(280円)と「マントウ」(230円)。
シャウピン(焼餅)はパリパリの生地で、ゴマがたっぷりとふりかけてあって香ばしい味。中はリーフパイに似た食感です。阿美パンでは甘い味と塩味の2種類を販売し、甘いほうは中央に砂糖のかたまりがあって、食べ進めるほどに甘味が増してきます。
マントウ(饅頭)は肉まんの外側と表現するのがピッタリ。想像よりかための食感で、味がないのかな?と思っていると、ほんのり甘味がしてきます。「そのまま食べても、肉や卵など好きなおかずをはさんで食べてもおいしいですよ」と游さんに教えてもらいました。

SNSや口コミで人気なのが「ローソンパン」(380円)です。ローソン(肉鬆)とは台湾伝統の肉でんぶのこと。コッペパンの上にたっぷりのローソンを乗せ、パンの中には隠し味のマヨネーズが。脂っこくなく、甘みのある味わいが不思議です。台湾では、惣菜パンと菓子パンの区別があまりなく、ローソンパンをおやつに食べる人も多いそう。

游さんが本場の味にこだわって作り上げたのが、「ネギパン」(240円)。日本と台湾ではネギの種類が違うという制約のなか、試作を3カ月間繰り返し、納得できるクオリティーに仕上がったという自慢のパンです。ネギと塩だけのシンプルな味付けながら、ネギの香りが引き立って一品料理を食べたような満足感があります。
「ネギパンをもっとおいしくしたい」と情熱を燃やしている游さん。今後の進化が楽しみです!

現在は、品ぞろえの4分の1ほどが台湾パンとのこと。
お客さんと対話しながらショーケースに入ったパンを販売するシステムなので、初めて台湾パンを食べる人には、それぞれのパンの味を詳しく説明してもらえます。フレンドリーな游さんが迎えてくれますよ。
・住所 東京都品川区旗の台3-14-4
・電話番号 03-6426-4159
・営業時間 10:00~18:00
・定休日 月曜・火曜
・URL
Instagram https://www.instagram.com/amei.pan/
2. 季節を感じる個性豊かなベーグルに夢中「BAGEL CHECK」(不動前)

東急目黒線・不動前駅から徒歩6分の「BAGEL CHECK(ベーグルチェック)」にやって来ました。山手通り沿いのピザ店「PIZZA CHECK(ピザチェック)」の姉妹店です。

ヨーロッパのベーカリーをイメージした店内。ショーケースには約30種類以上のベーグルをはじめ、スコーンやクッキーなどがならびます。
ベーグルは発酵させた後に茹でてから焼き上げるため、独特のもちもち感が特徴です。本場ニューヨークのベーグルは硬い食感ですが、「BAGEL CHECK」ではあえて日本人好みの柔らかく食べやすい食感に仕上げています。

定番人気のひとつ、「焼きりんごとクリームチーズ」(390円)は、紅茶フレーバーのベーグル生地にクリームチーズとクルミが入っています。シナモンがきいたクランブル&リンゴのトッピングとの相性はバツグン! 程よい甘さがたまりません。
季節替わりのベーグルも見逃せませんよ。これまで販売したものをお聞きすると、「さつまいもあん」「枝豆塩昆布」「マロンラムレーズン」などなど……どれもすごく気になります! この春は「桜あんとクリームチーズ」「ハニーマスタードチキンとアスパラ」がおすすめだそう。

紅茶やブルーベリー、カボチャなど、カラフルで味わい豊かなベーグル生地も魅力。「サーモンチーズ」(390円)は、ほうれん草を練り込んだ生地にチーズを乗せて焼き上げます。サーモンが入っていて、食べ応えも◎!
ベーグルは冷凍も可能です。冷凍したものを食べる際は、自然解凍後にレンジで20〜30秒温めてから霧吹きで水をかけ、トースターで3、4分焼き直すとおいしく食べられます。

店頭では、コーヒーやカフェラテ、オーツミルクラテといったドリンクや、夏にはアイスクリームの販売も。お店を出ると、桜の名所・かむろ坂はすぐ近く。春はベーグルやコーヒーを片手にお花見するのもおすすめです。
・住所 東京都品川区西五反田4-27-5
・電話番号 03-5747-9705
・営業時間 11:00〜19:00(売り切れ次第閉店)
・定休日 月曜・火曜(不定休あり)
・URL
Instagram https://www.instagram.com/bagel.check
3. “ふもふも”のパンで毎日に寄り添うまちのベーカリー「ふもぱん」(西大井)

JR各線の西大井駅から徒歩5分ほどの「ふもぱん」。
不思議な響きの店名は「ふわふわもふもふ」の略で、「ふわふわもふもふしたものを触ると癒やされるので、当店のパンでお客さんにもその感覚を味わってほしい」という思いが込められているそうです。
岩井久美子さん・宏聡さんご夫婦が切り盛りする同店。2人が一緒に働いていたベーカリーの閉店を機に独立に向けて準備を重ね、2022年10月にオープンしました。
宏聡さんの実家に近く、自転車で通えるエリアという条件で物件を探し、ベーカリーが少ない印象だったという西大井に出店。自転車での通勤は、電車の始発前から仕込み作業を行うためです。というのも、こちらのお店はなんと朝7時から営業しているんです! 焼きたてのパンを朝ごはんの時間帯に買えるのはうれしいですね。

商品の札やレシート類には猫ちゃんのイラストが印刷されています。かわいいもの好きだという久美子さんのオリジナルデザインです。店内には、同店のSNSアイコンにもなっているアルパカのぬいぐるみやカレンダーが飾ってありました。

季節限定商品や各種サンドイッチなども含めると、ラインナップは100種類ほど。約7坪とコンパクトなお店ですが、店内には40種類以上のパンが並びます。
おすすめを聞いてみると、「どれもおすすめですが、あえて挙げるとしたらフランスパンですね」と久美子さん。2人が働いていた『ル ノートル』というベーカリーのレシピを再現しているそうです。

「『ル ノートル』はフランス発のお店で、本場のレシピで作っていました。中はもちっと、外はバリッとしたあのフランスパンをまた食べたい、そして、お客さんに食べてほしいという思いもあって、独立を決めた部分もあります」(久美子さん)

取材時は1人だったため、「おいしいうちに全てを食べきるのは難しい……!」とフランスパンの購入は泣く泣く断念。フランスパンと同じ生地を使っているジンジャーフランク(260円)を買ってみました。ずっしりとジューシーなソーセージ、力強い風味のパン、ピリッとしたジンジャーペーストが合わさり、噛めば噛むほど旨味を感じられます。
おやつ用の甘いパンは紅茶ミルク(170円)を購入。茶葉を練り込んだ香り高い生地に、口当たりなめらかな自家製バターミルククリームを挟んだ1品です。

ツナとたまごのサンドイッチ(250円)とタラモサラダ(180円)も購入しました。シンプルなサンドイッチは、忙しい朝に食べると、ほっとできそうな優しい味わいです。タラモサラダは、ふんわりしたパンの中に、ホクホクのジャガイモにクリーミーな明太子マヨを合わせた具材がたっぷり!
「日常的に通えるよう、この価格設定にしています」という久美子さんの言葉通り、リーズナブルな価格の同店のパン。出勤途中に朝ごはんを求めて買う人や、お昼ごはんとして購入する地元の人が連日来店し、毎日13時頃には売り切れ・営業終了が続いています。
まちの人々に寄り添う「ふもぱん」のパン。購入の際は、早起きしてお店に行ってみてくださいね。
・住所 東京都品川区二葉2-23-7-101
・営業時間 7:00〜13:30、14:00〜16:00(売り切れ次第終了、日曜は13:30まで)
・定休日 水曜・平日のどこか1日(SNSで発信)
・URL
Instagram https://www.instagram.com/fumopain/
4. 手土産にもおすすめ、幸せな縁をつなぐパン「Koen」(中延)

都営浅草線・中延駅から徒歩5分、豊町公園そばに店を構える「Koen(コーエン)」。
店名のKoenには、「お客様や生産者様の『声(コエ)』を聞き、『縁(エン)』をつなげたい」「お客様や生産者様が『幸』せになれるようなお店作りを目指したい」「『公園(コーエン)』のように多くの人が集まる場所にしたい」という思いが込められています。
社長でパン職人の丸山明子さんと、スタッフの鹿山薫さんは10年来の付き合い。丸山さんのパン教室でスタッフをしつつレッスンを受けていた鹿山さんが、「このスキルを教室だけで埋もれさせてはいけない!」と丸山さんを誘い、自身の地元で開業しました。

店頭のショーケースには20種類以上のパンが並んでいます。
「対面販売式だからか、お客さんとのコミュニケーションは頻繁に取れています。通りがけに声をかけてくださる方もいて、地域の皆さんにも少しずつ知ってもらえている実感がありますね」と鹿山さん。

同店の看板メニューが「好日シリーズ」です。「好日クリームパン」は、ブリオッシュ生地に卵の風味が濃厚な自家製カスタードクリームを絞って焼き上げます。
「好日あんぱん」は、生地に豆専門店「豆のさがみや」(中延3)の塩入大納言を使います。中にあんこと求肥(ぎゅうひ)が入っていて、しっとりもちもちとした食感です。春限定で、「好日あんぱん 桜」(以上300円)も販売します。
「パンとお菓子の中間の仕上がりを意識しています」という丸山さんの言葉通り、スイーツのような味わいの好日シリーズ。手土産にもぴったりです。

「山食パン」(760円)も人気商品のひとつ。そのまま食べればもっちりとした食感を、バターを塗って焼けば小麦の豊かな風味を味わえます。

2025年1月にオープンした同店ですが、開店前から行列ができており、すでにファンがついている様子。
開店直後の10時頃に来店すれば品切れが少ない状態でパンを買えます。今日はどんなパンを買おうか、ワクワクと待っている時間も楽しいものです。
・住所 東京都品川区豊町6-16-6 FORNO101
・電話番号 03-6421-5818
・営業時間 10:00〜17:00
・定休日 火曜・水曜・木曜
・URL
5. 「30分以内に食べてみて」バゲットのおいしさを最大限に届ける「BAGUETTE STAND」(新馬場)

京急本線・新馬場駅南口から徒歩5分、元なぎさ通り沿いにある「BAGUETTE STAND(バゲットスタンド)」。店主の平野浩介さんは、パン職人として「おいしいバゲット」を届けることに力をそそいでいます。
新卒で勤めていた店のバゲットがきっかけとなり、そのおいしさの追究を始めた平野さん。バゲットにこだわるお店で修業を重ね、2023年に独立しました。

店頭には数種類のパンがならんでいますが、もちろん看板商品はこだわり抜いたバゲット! バゲットだけは注文を受けてからリベイクして提供しています。
同店のバゲットは、乳製品や糖類、油脂、卵を使わないシンプルな素材構成。小麦の風味をダイレクトに味わえます。「だからこそ、具材はシンプルにしてバゲットのおいしさが引き立つ様にしています。硬くならないうちに、なるべく30分以内で食べてみてほしいんです」と平野さん。店頭や電話で予約すると、受け取り時間に合わせて出来たてを用意してくれます。

「ジャンボンフロマージュ」(680円)は、ハム、フランス産のコンテチーズ、カルピス発酵バターをサンドした一品。パン生地を2日間寝かせ、小麦の風味や香りを際立たせています。
ハムには豚肉のシンタマ(モモ肉の一部)を使用し、ハーブやスパイス、岩塩で1週間以上塩漬けにして味を閉じ込めます。

「ミルクバター」(350円)は、カルピス発酵バターと北海道産の練乳を混ぜたクリームが、バゲットの味わいをいっそう引き立てます。焼きたてバゲットの内部の温度を調整してから、棒状に冷やしたミルクバターを挟んで仕上げます。

平野さんの努力と工夫が伝わるバゲットを、まずはイートインで食べてみてほしいです。ドリンクは、鹿児島のスペシャルティコーヒー専門店「ヴォアラ珈琲」の豆を使ったコーヒーなどを提供します。ぜひバゲットと一緒に味わってみてくださいね。
・住所 東京都品川区南品川2-15-4 恩田ビル1階
・電話番号 03-6455-8410
・営業時間 10:00〜18:00
・定休日 月曜・金曜
・URL
Instagram https://www.instagram.com/baguette_stand
気になるベーカリーはありましたか? 普段の食事、ピクニックのお供、そしてお土産に、こだわりの詰まったパンを携えて、春の楽しいひとときを過ごしてみてくださいね。
※記事中の店舗情報は2025年3月中旬の内容です。店舗の営業時間、提供内容は変更となる場合がありますのでご了承ください。
取材・文
杉本京子(阿美パン)
阿部夏美(ふもぱん)
梶原たくま(BAGEL CHECK、Koen、BAGUETTE STAND)
編集:ノオト
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