荏原七福神巡りで新年祈願!かわいい七福神キャラもコンプリートしよう
江戸時代から盛んになったといわれる七福神めぐり。幸福の神様として信仰されている恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋の七福神を祀っている寺社をめぐることで、七福神からの加護を受け、福を授かると言い伝えられています。
品川区にも七福神めぐりのコースが2つあります。今回は2019年元日、荏原七福神を訪れてみた様子をお届けしましょう。(2019.01.05)
1. キャラクターから神様を学べる荏原七福神
荏原七福神は、大井町駅から東急目黒線・西小山駅まで、品川区を東西に横断する約6キロメートル、約3時間のコースです(参拝時間を除く)。「荏原という地名を盛り上げていきたい」との思いから、1991年に始まりました。
荏原七福神の一つの特徴は、各寺社の七福神キャラクターを楽しめること。2015年に行われた「荏原七福神キャラクターコンテスト」で生まれ、それ以来、「もう1つの荏原七福神めぐり」として街を盛り上げています。
七社寺のイメージを膨らませ、それぞれの特徴をデザインに盛り込んだキャラクターたち。この新しい七福神を通じて、寺社のことを深く知るきっかけになりそうですね。
2. 大井町駅からすぐ! 天狗の姿をした福禄寿のいる大井蔵王権現神社へ
大井町駅から出発して、まずは大井蔵王権現神社を目指します。参拝の順序は決まっていないので、好きなルートで巡りましょう。この日の気温は、最低気温が0.9度、最高気温が10.7度。風もなく、歩きやすい気候でした。街をぶらぶら散歩しながら目的地へ向かいます。
大井町駅前にあるイトーヨーカードー前の歩道に、シナモロールのマンホールを発見!しながわ観光大使に任命されたご縁で、2018年秋に設置されました。
小道に入っていった「大井町緑地児童遊園」には、2匹の猫の像がありました。これは、かつて大井町に住んでいた詩人・萩原朔太郎の詩集「青猫」をテーマに設置したもの。背中の曲線がとてもかわいいですね。
駅から歩いて5分で、1つ目の目的地に到着しました。大井蔵王権現神社は、大井権現台の地名の由来となった神社。移転を重ね、現在は周辺をビルに囲まれた立会道路沿いに建っています。
財宝と人望と出世をもたらす「福禄寿」をお祀りしています。
神社の前には、記念撮影ができる顔はめパネルも。
江戸時代に町で火事や疫病が流行ったとき、この地域は大井村の権現神社の天狗のおかげで無事だったことから、人々は天狗に感謝したという言い伝えがあります。それから権現神社のお祭りには太鼓を叩いたり、天狗を祀った神輿をかついだりしてきました。そのことから、福禄寿は天狗のお面をつけて太鼓を叩くキャラクターにしたようです。
まずは新年の参拝をしてから……
七福神めぐりの寺社で、御朱印を押す色紙を購入しました。写真右の金色色紙(2,000円)と、色紙(1,500円)の2種類から選べます。こちらは7寺社の社務所や受付で取り扱っています。
さらに、七福神めぐりに欠かせない地図と冊子をいただきました。こちらは無料で、各寺社に置いてあります。
また、各寺社ではそれぞれの七福神キャラクターのシールも販売しています(各300円)。推しキャラのシールをゲットしましょう!
冊子には、寺社の詳しい説明や周辺のおすすめ店舗、休憩所の紹介が載っています。こちらはキャラクター七福神の台紙にもなっているので、スタンプを集めていきましょう。
■大井蔵王権現神社 住所 東京都品川区大井1-14-3 電話番号 03-3771-5288
3. 武闘とトイレづまりを直すのが得意!? 毘沙門天のいる東光寺
下神明駅方面に歩いて、不動院・東光寺を目指します。少し道に迷ってしまい、新年早々うろうろと商店街をさまようこと数十分。近所の方に道を案内していただき、やっとたどり着きました。
第2の目的地は、住宅や商店街に囲まれた場所にありました。迷わなければ、大井蔵王権現神社から歩いて約15分。不動院・東光寺には、開運厄除けと財宝をもたらす「毘沙門天」が祀られています。
お堂の中央には不浄除けの神様「鳥瑟沙摩大明」が安置され、その回りにトイレが並んでいます。中央の「おまたぎ」という便器をまたいでお参りすると、下の病にならない、下のお世話にならないそうです。キャラクターをよく見ると、その特徴が描かれていました。
毘沙門天は、右手に宝塔、左手に宝棒や三叉戟を持ち、甲冑を身に着けた武将姿が特徴的。江戸時代以降には、勝負事の神さまとしても利益があるとして、祀られるようになります。そのため武闘と、トイレづまりを直すのが得意というキャラクターになったよう。
こちらはペットも一緒に永眠できるお墓。犬や猫の像がたくさん置かれていました。
冊子と色紙、それぞれに押印します。
西小山方面から出発し、「残り1カ所」という参拝者に遭遇。次の神社への行き方を教えていただきました。七福神めぐりの冊子を持っていると、自然と声をかけやすくなるのがうれしいですね。
■不動院・東光寺 住所 東京都品川区二葉1-14-16 電話番号 03-3784-1613
東光寺向かいにあった、立派な煙突が目を引く銭湯「大盛湯」。こちらを目印に探すとわかりやすいかもしれません。
4. 圧巻の大仏様がいる養玉院・如来寺
次に目指す養玉院・如来寺は、東光寺から歩いて約35分。ぶらぶらと街の景色を楽しみながら、向かいましょう。
公園では凧揚げを楽しむ子どもの姿も。お正月ならではの風景です。
西大井駅を過ぎてさらに南に歩いていくと、何やら立派な建物が見えてきました。調べてみると、こちらは初代総理大臣・伊藤博文が眠る墓所。ハルビンで暗殺された後、大井に居館があったことからこの地に葬られました。通常は非公開のため入れませんが、11月の文化財ウィークには数日限定で公開されています。
さらに南へ進むと、かわいい狐が描かれた「金子跨線橋」を発見。橋に記された説明によると、かつてこの辺りはキツネが出没していたため、「狐窪」とも呼ばれていたのだとか。
散策するうちに、養玉院・如来寺にたどり着きました。如来寺は気喰但唱が高輪に建立したお寺で、のちに現在地に移転しました。
正面のお堂「瑞應殿」には、大井の大佛(おおぼとけ)といわれる五智如来が鎮座。釈迦如来、阿弥陀如来、大日如来、宝生如来、 薬師如来が並ぶ様子は、かなりの迫力があります。
五智如来の前に祀られている「布袋尊」。寛容で福寿財宝をもたらすと神様と言われています。
キャラクター七福神の布袋尊にも、小さくて可愛い5人のミニ如来が描かれています。寛大な兄貴肌の性格なんだそう。無邪気な笑顔が眩しいです。
残りは4カ所! 中延方面に北上しましょう。
■養玉院・如来寺 住所 東京都品川区西大井5-22-25 電話番号 03-3771-4816
5. スネークタウンとして盛り上がる蛇窪神社
続いて訪れたのは「蛇窪神社」(上神明天祖神社)。こちらも新年早々、多くの参拝客で賑わっていました。
「蛇窪神社」(上神明天祖神社)は、富貴開運の神様「弁財天」をお祀りしています。社殿横にある弁天社の祠は、白蛇様と龍神様をお祀りしていることから、「巳が辰(身が立つ)=立身出世」のご神徳があるといわれています。
現在の二葉、豊町、戸越、西大井の一部は、江戸時代初期まで蛇窪村と呼ばれていました。鎌倉時代、この地に生息していた白蛇が地元の人の夢枕に現れ、そのお告げによって弁天社が建立されたのだとか。
現在はスネークタウンとして、町会や商店街、企業などが協力して町おこしを実施中。周辺のお店では、白蛇うどんスープカレーや蛇とうふ、へびまんじゅう、スネークライス、白蛇Tシャツなど、さまざまな地元名物が誕生しています。
キャラクター七福神は、可愛い女の子。もちろん一緒に蛇が描かれています。愛称は「べんべん」で、バンドガールな不思議ちゃんなんだとか。
「蛇窪神社」(上神明天祖神社)では、荏原七福神のキャラクターにちなんだ「痛絵馬コンテスト」の開催も。イラストを描いて奉納すると、荏原七福神缶バッチをもらえます。
お正月には、参拝客には甘酒の振る舞いがありました。荏原七福神めぐり折り返し地点で、体をしっかり温めました。
さらに境内には、おしるこやジャークチキン、ビール、日本酒などの販売コーナーも。机も用意してあるので、ゆっくりと休憩できます。
住宅街や商店街に隣接していながら自然豊か。新年を迎えたこの時期でも境内にはまだ少し紅葉が残っていました。
■蛇窪神社 住所 東京都品川区二葉4−4−12 電話番号 03-3782-1711
6. ItalianBar FOSSETTAで小休憩♪
お昼時になったので、お店に入って一休み。「蛇窪神社」(上神明天祖神社)近くの「ItalianBar FOSSETTA」は、1月1日から営業している参拝者に優しいお店です。
お正月は特別ランチとして、好きなパスタorピッツァに、プラス600円で前菜とドリンク付き。ソフトドリンクのほか、ビールやワインなども選べます。
ピザ生地やピザソース、トマトソース、ミートソースなど、すべて手作りで、保存料は一切使っていないそうです。「海老ときのこのバター醤油パスタ」と「サーモンとマスカルポーネチーズのピッツァ」をいただきました。
●ItalianBar FOSSETTA 住所 東京都品川区中延6-4-4 電話番号 03-6421-5228 ※1月1日〜4日の営業時間は11:00〜15:00、17:00〜21:00。6日までのランチタイムには「お正月特別ランチセット」を用意。
7. 荏原町駅前の法蓮寺は春は桜の名所!
腹ごしらえが済んだところで、法蓮寺を目指して中延から荏原町駅方面へ向かいます。
いつもの装いとはまた変わった、お正月らしい雰囲気の商店街を楽しめます。
法蓮寺に到着しました。大井町線・荏原町駅の目の前です。
こちらは、1264年〜74年の文永年間に創建の日蓮宗の寺院です。鎌倉時代中期に、この地の豪族・荏原氏の居館を寺としたのが始まりで、旗岡八幡神社とともに源氏ゆかりの寺として「八幡山」の山号がつけられています。
境内には、商売繁盛の「恵比寿」が祀られています。
春には桜が満開になるスポット。荏原七福神のキャラクターイラストには桜が描かれていました。調子がいいと釣り竿に桜が咲くそう!
いよいよ、残り2カ所。旗の台〜西小山エリアへ向かいます。
■法蓮寺 住所 東京都品川区旗の台3−6−18 電話番号 03-3781-4011
8. 釈迦の生母像を所蔵する摩耶寺へ
次に向かう西小山駅方面の摩耶寺へは、ここから35分歩くようなので、法蓮寺近くのカフェ「every day coffee」に立ち寄りました。おすすめは、店内で焙煎したコーヒー。
テイクアウトにも対応しています。ちなみにコーヒードリンクは全てデカフェ(カフェインレス)に変更できるので、カフェインが苦手な方も安心です。
●every day coffee 住所 東京都品川区中延5-13-14 https://www.every-day-coffee.com/ ※1月4・5・6日は通常営業。7〜11日は休業。
コーヒーを片手に商店街を歩きながら、旗の台駅方面へ。地元商店街には2019年の干支、亥のかわいいイラストを描いたフラッグが目立っていました。
旗の台駅を越えたら、最短坂道コースなら昭和大学病院を右手に、平坦なコースなら昭和大学病院を左手に迂回しながら、摩耶寺に向かいましょう。
到着! 摩耶寺は1667年に開山したお寺で、1678年にお釈迦様の生みの母である摩耶夫人像が作られ、摩耶堂にお祀りしてあります。普段は非公開ですが、11月の文化財ウィークは本堂で公開されるそうです。
摩耶寺には、延命長寿の神様「寿老人」が祀られています。寿老人といえば頭の長さが特徴ですが、荏原七福神のキャラクターは謎のオジサマ紳士。
スタンプをしっかり押して、残りはいよいよ1カ所に。
境内では、甘酒の振る舞いも。温かくて、冷えた体に染み渡ります。
■摩耶寺 住所 東京都品川区荏原7-6-9 電話番号 03-3785-5576
9. 小山八幡神社に到着! 七寺社コンプリートの特典も
最後の七福神となった小山八幡神社は、摩耶寺のすぐ隣。口伝では1030年には旧小山村本村の氏神として崇敬され、鎌倉幕府のころに創立されたといわれています。
小山の名の通り区内随一の高台に位置し、品川百景に選ばれています。
大願成就の神様「大國天」が祀られています。
窓口で押印して、七福神色紙の完成!
キャラクター七福神の男の子は、大きな小槌を担いでいました。キャラクター紹介によると、女性受けのいい性格をしているという気になるキャラクター設定。
色紙と冊子を巫女さんに渡し、スタンプのコンプリートを確認してもらいます。
荏原七福神めぐりを終えたご褒美(?)として、七福神絵馬とオリジナルクリアファイルをいただきました。
朝10時に出発し、7カ所回り終わったのは16時。ぶらぶらと町歩きをしながら七福神を巡ったので、約1万7000歩の道のりとなりました。元日からかなりの達成感です。今回は1日でまわりきれましたが、体力面で辛い場合は別日に分けて参拝しても構わないそうです。
■小山八幡神社 住所 東京都品川区荏原7-5-14 電話番号 03-3783-0455
実際に七福神めぐりをしてみて、ほかの参拝者さんとお話ができるのが楽しいなと思いました。普段はなかなか訪れないエリアも歩けたので、これまで知らなかった品川区の町にちょっと詳しくなれた気がします。ちょうどいい運動にもなるので、お正月太りが気になる方は七福神めぐりをしてみてはいかがでしょう。
※1月1日~1月7日の10時~16時の間は、各社寺に受付があります。(8日以降もご参拝できますが、受付不在の寺社もあります。)1月8日以降、社寺受付が不在の場合には法蓮寺で記念品をもらえるので、スタンプの冊子をお持ちください。 ※キャラクター七福神のオリジナルクリアファイルは、先着1000人。引換所は1月1日〜7日(10時〜16時)は7寺社、8日(10時〜16時)以降は法蓮寺・上神明天祖神社で。
執筆:松尾奈々絵(ノオト) 撮影:森夏紀(ノオト)
(掲載情報は2019.1.5公開時の情報です)