天王洲フォトウォーク
運河に囲まれ、倉庫街として物流を支えてきた小さな島・天王洲アイル。現在は「アートの街」と呼ばれ多くの方に親しまれています。
今回は、2020年以降にオープンした新スポットを中心に、アートの街・天王洲で過ごす1日をご紹介。おいしい朝食からはじまり、フォトスポットやミュージアム、おしゃれな水上ホテルまで、時間をたっぷり使って天王洲の街を散策してきました。
1. パンとコーヒーをテイクアウトして、運河沿いで朝ごはん「breadworks」
1日のスタートは、モーニングを楽しむところから。運河に面したベーカリーカフェ「breadworks(ブレッドワークス)」へやってきました。パンはもちろん、スイーツやデリも楽しめるスポットです。
倉庫だった建物をリノベーションした店内は、天井が高くナチュラルで落ち着いた雰囲気。運河をのぞむ窓からは朝の光を気持ちよく感じられます。席数は、店内68席、テラス7席ほど。
朝の店内は、親子で朝食を楽しむ方、朝食片手にリモートワークする方、お散歩ついでにパンを購入する方など、幅広い世代でにぎわっています。
モーニングメニューは、10〜12種類のデリから好きなものをいくつか選べる「Deli Plate(デリプレート)」(1,000円〜)や、「バターミルクパンケーキ」(780円)など。
雑穀を使ったサラダや、季節の食材を使用したフリッタータなど、色鮮やかなデリを選ぶ時間も楽しく感じられます。テイクアウトも可能。
店頭にならぶパンは、全部で50〜60種類ほど。自社製のビール酵母を使ったビアブレッドや旬のフルーツのデニッシュ、ハード系のパンなど、季節によってもさまざま。
今回はパンとコーヒーをテイクアウト。朝の空気を感じながら運河沿いのベンチでいただきます。
国産小麦と米粉をブレンドした人気の「塩パン」は、ふわっとした食感とほどよい塩味がくせになりそう。デニッシュ生地にピスタチオ風味のアーモンドクリームを絞って焼き上げた「ショコラピスタージュ」は、ピスタチオの香りをしっかり感じられる一品。コーヒーとの相性も抜群です。
コーヒースリーブに描かれたイラストは、パンとそれを取りまく人々の生活をテーマに、イラストレーターの高橋信雅さんが描き下ろしたもの。
静かに流れる運河をながめつつ、愛らしいイラストにいやされるモーニングタイムでした。
breadworks 天王洲 ・住所 東京都品川区東品川 2-1-6 ・電話番号 03-5479-3666 ・営業時間 8:00〜20:00 ・定休日 不定休 ・URL https://www.tysons.jp/breadworks/
2. 天王洲の街のあちこちで、パブリックアートに注目!
パンとコーヒーでお腹を満たしたあとは、カメラを片手に天王洲の街を散策。最初に目に飛び込んできたのは、天王洲のメイン通り「Bond Street(ボンドストリート)」にある巨大な壁画。パッと目をひく色合いとその大きさに、思わず立ち止まってしまいます。
「浮世絵」を題材にしたこの作品は、スペイン在住のアーティストARYZ(アリス)氏によるもの。クレーンに乗ってこの場所で描き上げたのだとか。作品の背景を知ると、さらに迫力を感じられますね!
運河沿いのボードウォーク上で見つけたのは『River eyes』というペイント作品。
高層ビル、川、緑、アート作品といった多様な要素が点在する天王洲の街。そこを行き交う人のさまざまな眼差しをイメージしているそう。
ひとつひとつを見ていくと、視線の先や表情、色合いまでバラバラなことに気がつきます。それぞれの視線にどんなストーリーが込められているのか、考えながら見ていくと尚おもしろいです。ついつい写真に残したくなりますね。
ボンドストリートでは、『猫も杓子(しゃくし)も』という作品を見つけました。フランスのグラフィックアーティスト、ダミアン・プーラン氏によるもの。
ふつうに考えれば写真を撮るのは人間で、猫は被写体となるはずなのに、ここではなぜか猫に写真を撮られている……。この作品にはそんなユニークさと皮肉がこめられているそうです。
カメラに向かってはい、チーズ。ニヤッとカメラを構える猫の表情は、猫の目にうつる人間の姿を表現しているのかもしれませんね。
運河にかかる「ふれあい橋」をわたった先で『Tap』という作品を見つけました。作品名をヒントに、何が表現されているのか推測してみます。音符、ヘッドフォン、カスタネット……。
つい正解を求めたくなりますが、答えを教えてくれるような説明書きはありません。見る人それぞれの解釈があるのも、アートのならではの楽しみ方。
最後に見つけたのは、駅のすぐそば「天王洲アイル第九公園」にある不思議な円形のモニュメント。作品名はありませんが、雲をイメージしているのだとか。
モニュメント越しに空を見上げると、このまま飛んでいけそうな不思議な感覚に。ちょっとした高台にあることから、特別な開放感があります。
街のいたるところでアート作品に出会えるのが、天王洲エリアのおもしろいところ。案内板やゴミ箱など普段は目に留めないところにアートが隠されていることも。ぜひカメラを片手に散策を楽しみましょう。
3. 水辺の北欧風レストランで、おしゃれなランチを楽しもう「SØHOLM」
ランチタイムは、天王洲運河沿いのボードウォークにたたずむ「SØHOLM(スーホルム)」へ。
店名の「SØ」はデンマーク語で「水辺」、「HOLM」は「街」を意味し、デンマークの海辺のほとりにある小さな町のレストランをイメージして作られたお店なのだとか。天王洲の街にぴったりのレストランですね。
家具やカトラリーは、同店を運営するインテリアショップ「ACTUS(アクタス)」のアイテムを取り入れています。あたたかみのある家具と店内のグリーンで、ゆったりくつろげそうです。
注文したランチメニューは、ポークカツレツ、ポテトサラダ、目玉焼き、グリーンサラダ、グラナパダーノ(=チーズ)がワンプレートになった「豚肉のシュニッツェル チェリートマトのソース」(1,760円)。分厚いバケットとコーヒー(または紅茶)もついてきます。
ほど良い甘さがクセになるチェリートマトと、薄くスライスされたグラナパダーノ、目玉焼きを絡めたカツレツを口の中へ! さまざまな味がバランスよく口の中で広がります。ナイフとフォークを動かす手が止まりません……。んーおいしい!
食後のコーヒーは、外の景色をゆっくり眺めながら。老舗のコーヒーブランド「小川珈琲」の豆を使用しているそうです。苦味が少なく、食後にぴったりのさわやかな後味でした。
今回頼んだメニュー以外にも、平日限定の「本日のランチ」(1,430円)や、野菜をたっぷり楽しめる「グレインズサラダ」(1,650円)など、気になるメニューがたくさん。窓からの景色や店内のグリーンを楽しみつつ、ゆったりとしたランチタイムを過ごしたい方はぜひ。
SØHOLM(スーホルム) ・住所 東京都品川区東品川2-1-3 ・電話番号 03-5495-9475 ・営業時間 ランチ=11:00〜15:00 (L.O. 14:00)、ディナー=17:00-22:00(L.O. 21:00) ※土曜・日曜・祝日は21:00まで ・定休日 水曜 ・URL https://www.soholm.jp/
4. 個性豊かな作品が集まるカフェ併設ギャラリー「WHAT CAFE」
大満足のランチタイムを過ごしたら、アートの街・天王洲を再び散策! スタイリッシュな雰囲気の「WHAT CAFE」は、若手アーティストの支援を目的としたカフェ併設型ギャラリーとして、2020年にオープンしました。
入館は無料。施設内に展示されたアート作品を自由に見てまわりましょう。
ギャラリー内には、20名前後の若手アーティストの作品が100~150点ほど展示されており、およそ月に1度のペースで入れ替わります。週末にはその場で作品を制作する「ライブペイント」が行われることも。
「この作品をみると元気になるな」「気づきがあるな」といった、いろんな人の「いいな」を集めた展示を意識しているのだとか。
在廊中のアーティスト自身から作品の制作背景を聞くことも。スタッフの方も積極的に声をかけてくれるので、気になった作品があればぜひ質問してみましょう。
併設のカフェでは、洋食をメインとしたランチプレートやカレー、カフェメニューなどがそろっています。
また、施設内は写真・動画撮影OK。「アート鑑賞ってハードルが高そう」と思ってしまいがちな人も、アートをより身近に感じられそうなスポットです。
WHAT CAFEの周辺にも、ミュージアムやギャラリーがたくさん。2020年にオープンした現代アートのコレクターズミュージアム「WHAT MUSEUM」は、倉庫を開放、普段見られないアートを覗き見するという、ユニークなコンセプトの施設です。
天王洲アイルに本社を置き、アートの保管・倉庫業を展開する寺田倉庫が、「お預かりしている貴重なアート作品を広く公開したい」という思いのもと運営しています。
アートコレクターが実際に購入した貴重な現代アートや、建築家から預かっている建築模型とめぐりあえるのが魅力です。作品によっては撮影OK。
ミュージアムショップには、WHAT MUSEUMオリジナルグッズもあるので、ぜひチェックを。
「TERRADA ART COMPLEX II」は、日本を代表するギャラリーがいくつも集まっている、アート複合施設です。 アートの購入を検討している方など、まさに上級者向けのスポット。
各ギャラリーでどのような展示を開催しているか、事前にチェックしておくのがおすすめです。(※ギャラリーへの訪問は予約が必要な場合があります)
このほか、天王洲エリアの各施設では、特別展やイベントが開催されていることも。会期や展示内容は時期によりさまざま。各ミュージアムの展示情報をチェックしてみてくださいね。
WHAT CAFE ・住所 東京都品川区東品川2-1-11 ・営業時間 11:00〜18:00 ・定休日 不定休 ・URL https://cafe.warehouseofart.org/
WHAT MUSEUM ・住所 東京都品川区東品川2-6-10 G号 ・営業時間 11:00〜18:00(最終入館17:00) ・定休日 月曜 ・URL https://what.warehouseofart.org/
TERRADA ART COMPLEX Ⅱ ・住所 東京都品川区東品川1-32-8 ・営業時間 11:00~18:00(金曜は20:00まで) ・定休日 日曜・月曜・祝日 ・URL https://terrada-art-complex.com/
5. 水上ホテルに宿泊、運河の夜景を満喫「PETALS TOKYO」
徐々に日が暮れてきました。天王洲の街をあますことなく堪能するべく、今晩は水上ホテル「PETALS TOKYO(ペタルストーキョー)」に宿泊します。
運河に浮かぶ船が、それぞれ4つの客室に。カラフルな外観は、運河の街・オランダの首都アムステルダムをイメージし、手づくり感あふれるデザインに仕上げたのだとか。船によって色合いや形が異なる点にも注目。
客室ごとに内装デザインもさまざま。今回宿泊する「PETAL2」は、落ち着いた雰囲気がただようラグジュアリーな空間。船内をイメージした丸窓が非日常感をより演出してくれます。
自然と共存する水辺のホテルだからこそ、客室内に極力プラスチックを置かないのもこだわりの一つ。ドリンクの容れ物には再利用できる紙パックやビンを、アメニティ類は木製のものを採用しているそうです。
PETALS TOKYO最大の魅力は、すべての客室から運河や景色を望めること。全室西向きに設置された窓からは、きれいな夕陽が差し込みます。日が落ちると天王洲の夜景、朝はきらきらっとしたうつくしい水面の景色を堪能できます。
移り変わる運河の景色を、客室からのんびり眺めたり、
宿泊者限定のデッキで外の空気を感じながら楽しんだり。
ホテルの方に手配していただいた近くのおすすめのレストランでディナーを堪能したあとは、運河沿いをお散歩。すっかり暗くなり、天王洲の景色はまるで海外にいるような幻想的な風景に様変わりしていました。
心地よい夜風を感じつつ水辺のライトアップを楽しめるのも、運河に囲まれた天王洲ならではの楽しみ方です。
PETALS TOKYO ・住所 東京都品川区東品川2-1 T-LOTUS ・電話番号 050-5491-2681 ・営業時間 チェックイン15:00〜 チェックアウト11:00〜 ・URL https://www.terrada.co.jp/ja/service/art/petals-tokyo/
たっぷり1日かけて、アートの街・天王洲での過ごし方を紹介しました。アート作品や写真撮影を楽しんだり、おしゃれなごはんや水上ホテルを満喫したり……。都心にいながら、いつもとは違った体験ができる天王洲エリア。
五感を刺激してくれる天王洲の街で、ぜひ特別な1日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
※記事中の店舗情報は2023年11月上旬の内容です。店舗の営業時間、提供内容は変更となる場合がありますのでご了承ください。
(取材・撮影:はせがわみき モデル:稲川栞 編集:森夏紀/ノオト)
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