品川区内のひんやり、ふわふわかき氷
暑〜い夏に食べたくなるひんやりスイーツといえば、かき氷を思い浮かべる方も多いのでは?現在かき氷ファンを中心に親しまれているのが、氷を薄く削ったふんわり食感のかき氷。頭にキーンと来ず、口に入れた瞬間に溶けていくのが特徴です。
今回は、品川区にある“ふわふわ”かき氷店を5店舗ご紹介。暑い夏を爽快な気分にさせてくれる絶品かき氷、探しに出かけませんか。(2023.7.7公開)
1. しゅわ×ふわの新体験かき氷 住宅街にかわいく佇む甘味やさん「喫茶ベレー」(荏原)
最初にご紹介するのは、東急池上線・戸越銀座駅から徒歩9分、東急目黒線・武蔵小山駅から徒歩11分、住宅街の中にある「喫茶ベレー」。洋館のようなレトロな雰囲気漂う外観は、海外に迷い込んだような気分にさせてくれます。
レンガ造りのこの物件は、店主の秋山さんがふらっと歩いていたときに見つけ、「お店を開くならここだ!」と一目惚れしてしまったそうです。
もともと同店は2012年にかき氷店「Niccori~na(ニッコリーナ)」として笹塚でオープン。その後、間借り営業などを経て2019年に荏原エリアに移転しました。
店名に「喫茶」が付くため、喫茶店らしいかき氷を出したいという思いから作られた「氷クリームソーダ」(1,400円)。自家製ミルクをかけたふわふわの氷と、炭酸シロップのしゅわしゅわ感は、新感覚ながら昔懐かしい喫茶店のクリームソーダのような味わいも楽しめます。香り付けのライムは、各自のタイミングで絞ってOK。
「常に開けたての炭酸を使っているので、しゅわっと感を存分に楽しんでほしいです。追い炭酸もできるので気軽に声をかけてくださいね」と話すのは、店主・秋山さんの兄でスタッフの星野さん。
食べ進めていくと、真ん中には肉厚なごろっとしたマンゴーが。ほどよい自然な甘みが、ミルクにも炭酸にもマッチします。クリームソーダ味だけでは終わらせない、ユニークな逸品です。
「妹は、幼いときから果物やあんこへの愛が強く、素材と真剣に向き合っていますね。かわいらしい見た目に意表をつくメニュー構成で、ここでしか食べられない、いわゆる“ベレーっぽさ”を大事に、大切な人を連れていきたいと思ってもらえるお店を目指して日々試行錯誤しています」(星野さん)
店内に飾ってあるドライフラワーは、武蔵小山にあるお花屋さん「nicoflower(ニコフラワー)」で「喫茶ベレー」をイメージしたものを作ってもらっているのだとか。
「『ニッコリーナ』のときからお店を手伝っていたのですが、『喫茶ベレー』になってから僕もかき氷を作り始めるように。昔からずっとカフェが大好きだったので、妹のおかげでお店の運営に携わることができて楽しいです」と星野さんは笑顔を見せます。
日替わりで3〜7種類のかき氷を提供する「喫茶ベレー」では、インスタグラムで今週のメニューを告知しています。季節ごとの旬な果物や水ようかんを使ったメニューなど、見た目も味も“ベレーっぽい”かき氷を楽しんでくださいね。
喫茶ベレー ・住所 東京都品川区荏原1-7-12 コーポサンフラワー102 ・営業時間 12:00~18:00 ・定休日 不定休(インスタグラムで告知) ・URL https://www.instagram.com/velley_velley/
2. キュートなピンクで“姫気分” エスプーマかき氷を堪能できる「らーめん&かき氷 はいむる」(武蔵小山)
東急目黒線・武蔵小山駅から徒歩3分、2022年に現在の場所に移転オープンした「らーめん&かき氷 はいむる」。店名は、沖縄県八重山諸島の言葉で「南十字星」を意味する「はいむるぶし」から名付けられました。
2014年に地元・武蔵小山でオープンして以来、かき氷とラーメンをメインに提供するユニークなお店として、地域に親しまれています。
一人でも入りやすいように、店内はテーブル席のほかカウンター席も設けています。関西や東北など、遠方から来てくれるお客さんも多いのだそう。
そんな「らーめん&かき氷 はいむる」の売りは、エスプーマをかけたかき氷。スペイン語で‟泡”を意味するエスプーマは、ムースのように軽くなめらかな食感です。
炭酸入りのエスプーマを乗せたイチゴ味の「姫」(1,749円)は、お店の大人気メニュー。見た目のキュートさに思わず胸が躍りますね。口に入れると、ほのかにしゅわっとします。
酸味と甘みのバランスが絶妙なイチゴを使ったエスプーマは、練乳味の氷と相性抜群。中にははちみつ入りのクリームチーズが入っていて、マイルドさをプラスしてくれます。
同店のかき氷は、48時間以上凍らせた純氷と、主に旬の果物を使います。
店主の井渕康次さんは、かき氷づくりについて「言ってみれば、水に味を付けるだけなので、何でもできちゃう。それなのに素材の組み合わせによっては単純な足し算以上の味わいになります。突き詰めても答えのない問題を解いているみたいで奥深いんです」と話します。
「新しいメニューを考案し続けて、自分自身が納得できる『おいしさ』を追い求めていきたいです」と、これからも変わらないかき氷への探究心を語る井渕さん。
見た目華やか、かわいらしさ満点のかき氷は、友だちや恋人同士で食べると盛り上がりそう。夏本番は行列必至なので、時間に余裕を持ってご来店くださいね。
らーめん&かき氷 はいむる ・住所 東京都品川区小山4-9-4 ・営業時間 11:30~18:45 ・定休日 月曜 ・URL https://www.instagram.com/haimuru_ramen_and_kakigori/
3. 今夏でしばしのお別れ 季節のフルーツをたっぷり贅沢に味わう「日光天然氷 碧」(武蔵小山)
東急目黒線・武蔵小山駅から徒歩3分、夏季限定のかき氷店「日光天然氷 碧(あおい)」。今年は8月23日前後からオープン予定です(6月30日時点)。
店主の菊地太さんは、普段は自動車関係の製造業を営んでいます。実父が体調を崩したことをきっかけに、20年間勤めた東京消防庁・水難救助隊の仕事を退職し、6年前に家業を継いだそう。
「公務員時代はやりたいことになかなか挑戦できなかったんです。地方まで食べに行くほどかき氷が好きだったこともあって、生まれ育った武蔵小山で、地域の人たちに喜んでもらえたらという思いから開店に至りました」とほほ笑みます。
店内の白い石壁は、お店で提供する日光の天然氷と同じ栃木産で、宇都宮の大谷石を使います。大谷石が空気中の湿気を取りながらも、乾燥しすぎない適度な湿度を保ってくれるそうです。
「巨峰シャインマスカットパープル」(1,300円)は、巨峰のシロップをかけ、ナガノパープルとシャインマスカットを皮ごとトッピング。3種類のぶどうのほどよい酸味と甘みが、ミルクにとってもよく合います。
「その日の気温や室温、調理場から客席までの距離なども考慮して、ベストな氷の状態になるよう計算しながら提供しています。お客さまが『おいしかったです』と食べ終わったお盆を持ってきてくれると、僕もついやる気になっちゃって。喜んでもらえるものを出したい一心で、常に試行錯誤しています」と菊地さん。
プチプチとした種の食感が楽しい「奄美大島のパッションフルーツ」(1,300円)は、一杯のかき氷にパッションフルーツをなんと7〜8個も使うのだそう。添えられたソースとミルクをお好みでかけながらいただきます。
パドルスポーツを練習したり、シーカヤックの大会に出場したりしていた関係で、奄美大島に行く機会が多かったという菊地さん。現地でパッションフルーツを食べたときに、この甘酸っぱさが氷にぴったりだと感じたそうです。
同店のかき氷に使われるのは、明治27年に創業した日光の蔵元「松月氷室」の天然氷。2〜3週間かけてゆっくりと凍るため、不純物が入らないのが特徴だといいます。菊地さんは、現地で氷を切り出すボランティアにも参加しています。
菊地さんのお子さんの成長に伴い、2023年夏の営業をもって、しばらくお休み期間に入る「日光天然氷 碧」。菊地さんは「最後なので、一人でも多くのお客さまに『おいしかった』と言ってもらえるよう、妥協せずに提供したいです」と気合十分。
季節のフルーツを、これでもかと惜しみなく使った同店のかき氷。今年の夏の思い出にいかがですか?
日光天然氷 碧 ・住所 東京都品川区小山4-9-8 ・営業時間 12:00~16:00 ・定休日 日曜・祝日 ※8月23日前後にオープン予定。詳細はHPやインスタグラムで告知 ・URL https://kakigoori-aoi.jimdofree.com/
4. 見た目も味わいも唯一無二! 店主の個性が躍動する「いちょうの木」(北品川)
京急線の北品川駅・新馬場駅からそれぞれ徒歩4分の距離にある「甘味処いちょうの木」。
1979年にあんみつやトーストなどを提供する喫茶店としてオープンした同店。店主の今智子さんが16年前に先代からお店を引き継ぎ、現在に至ります。
ウッド調のお店の軒先には、大きないちょうの木。店内にはノスタルジックな雰囲気が漂い、東京にいるのにどこか懐かしい気分にさせてくれる不思議な空間です。
同店は、美大出身で油絵を専攻していた今さんならではの、芸術性のあるかき氷が有名です。「季節の果物を使って、『他の店がやっていない組み合わせを作るぞ!』という気持ちでメニューを考えています」と今さん。
すいかや生姜、チリパウダーを組み合わせた「すいかチリ」(1,300円)、「ずんだティラミス」(1,100円)、「ほうれん草とピスタチオ」(900円)、「ラベンダーコーヒー」(1,300円)など、「一体どんな味なの?」と遊び心をくすぐられるラインナップがそろいます。
レースのように絞ったホイップクリームの上に、グリム童話「かえるの王さま」をイメージしたアイシングクッキーがちょこんと乗っかった「ウォーターゲートケーキ」(1,500円)。アメリカ西部発祥のデザートから思いついたメニューなのだとか。
ピスタチオミルククリームに弾力のあるマシュマロ、食べ進めるとパイナップルとラムレーズンが顔を覗かせ、さらに下にはカカオニブとピーカンナッツが。一杯で何度も味や食感の変化を楽しめるのが、今さんが作るかき氷の特徴です。
今さんは「ピスタチオを使ったデザートを探していました。マシュマロとクリーム、果物などを組み合わせ、持ち寄りパーティーなどで食べられているアメリカの料理をモデルにしています。知らない文化に知らない味だったので、かき氷にアレンジして作ってみたかったんです」と、にっこり。
壁には有名人のサインもずらり。サクサクとしたパイの食感を味わえる「ピーカンパイ」(1,000円)を、プライベートで食べに来る芸能人の方もいらっしゃるのだとか。
「いま抱いている夢は『日本の観光地になる!』です。お店のインスタを運営していると、日本にいながらでも世界と繋がれる感覚があって。実際に遠い外国から観光客の方が来てくれるのが、不思議で面白い。『私が日本一のかき氷屋です』と胸張って言えるようになりたいんですよ」と、内に秘めた思いを笑顔で話してくれました。
味の想像がつかないワクワク感と、目の前にかき氷が登場したときの「わあ!」と声を上げたくなるビジュアルで、ハッピーな気持ちになれちゃう「いちょうの木」。今さんの感性が冴えわたるかき氷、ぜひ一度体験してみてほしいです。
いちょうの木 ・住所 東京都品川区北品川1-28-14 ・営業時間 11:30~17:00 ・定休日 月曜、木曜 ※土日はホームページでの予約制 ・URL https://ichounoki.com/
5. まろやかな口どけ、飽きのこないエスプーマかき氷「SCHAFT」(大井町)
最後にご紹介するのは、東急大井町線・大井町駅から徒歩5分のところにあるかき氷専門店「SCHAFT(シャフト)」。2022年3月にオープンしたお店です。
店長の沼田睦人さんは「お客さんと直接近い距離で話せるように、カウンター席は必須だと思っていました。丁寧なコミュニケーションをとって、ホスピタリティ重視なお店にしたいんです」と話します。
「レアチーズのかき氷」(1,300円)は、ブルーベリー、ラズベリー、ストロベリーの3種のベリーの果肉を使ったソースがかけられています。濃厚なのにさっぱりさわやかなレアチーズソースとやさしいミルクの味わいは、フルーツのちょうどいい酸味にぴったりです。
北海道から沖縄まで全国のかき氷店を巡るほど、かき氷好きのオーナーがオープンした同店。小学校から幼馴染だったオーナーに誘われて、お店を手伝うようになった沼田さんは「幼馴染とはいえ、会っていない期間も実は長くて。久しぶりに再会したら、『こんなにエネルギーにあふれていたっけ?』とびっくりしちゃいました。実際にお店を始める行動力を尊敬していますね」と誇らしげ。
ちょこんと乗った生クリームのエスプーマがかわいい「ほうじ茶エスプーマかき氷」(1,500円)。まろやかな口どけの生クリームと、ほうじ茶の苦味が口の中で混ざり合います。トッピングのチョコチップが食感のアクセントになっていて美味!
メニューは、スタッフの意見を参考に改良を重ねたり、新商品を考案したりしているそう。営業を始めてから二度目の夏を迎える今年は、「スタッフも成長しているので、さらに質の良いかき氷でお客さまに満足いただけるよう頑張りたい」と意気込みます。
「オーナーも私も、大井町で生まれ育ちました。大井三ツ又商店街のお祭りにも出店してみたいし、これから街を盛り上げていきたいですね」と沼田さん。丁寧で誠実な接客に心が温かくなりながら、身体はかき氷でひんやり涼める素敵なお店です。
SCHAFT ・住所 東京都品川区大井1-53-6 2F ・営業時間 13:00~17:00 ・定休日 不定休(インスタグラムで告知) ・URL https://www.instagram.com/kakigorischaft/
今回ご紹介したお店はどこも、味への果てしない探求心が感じられたのはもちろん、見た目の華やかさからも、「お客さまに楽しんでもらいたい!」という素敵な気持ちが伝わってきました。
夏の暑さをひんやりと吹き飛ばしてくれそうなかき氷。ふわふわなかき氷は未体験という方も、ぜひこの機会に品川区のユニークなかき氷を楽しんでみませんか。
※記事中の店舗情報は2023年6月の内容です。店舗の営業時間、提供内容は変更となる場合がありますのでご了承ください。
取材:矢内あや 編集:森夏紀/ノオト
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