アートの街・天王洲をフォトウォークする
大崎駅からりんかい線で7分、品川駅からは歩くことおよそ20分。目黒川と京浜運河に囲まれた場所にある小さな島・天王洲アイル。1980年代後半から再開発地区として定められた天王洲エリアは、今「アートの街」と呼ばれ、多くの人々に親しまれているんです。
今回は、そんな天王洲アイルをたっぷりと楽しむ散策ルートをご紹介します。まるでかくれんぼのように、島の中に散りばめられたアートの数々。カメラを片手に、のんびりとおさんぽしてきました。(2019.9.13公開) 最新の天王洲に関する特集記事はこちら: 天王洲フォトウォーク2023
1. 天王洲アイル駅からおさんぽスタート
スタートは、東京モノレール・りんかい線「天王洲アイル駅」から。お昼前にゆっくりと集合して、まずは駅を出てすぐのオフィスや商業施設が立ち並ぶビル群「シーフォートスクエア」へ。
やってきてまず目を見張るのは、1階のガレリア(回廊)。螺旋階段と吹き抜けによって造られた壮大な空間に思わずうっとり。実は、ドラマやCMなどのロケ地として、何度も活躍しているスポットだそうです。
シーフォートスクエア内には飲食店が立ち並び、奥には「天王洲 銀河劇場」も。この優雅な景観の先にある劇場って、なんておしゃれなのでしょう。
ガレリア中央部の階段を上ってエレベーターの近くに寄ってみると、想像以上に大きくてスケール感に圧倒されます。
2. 絶景を眺めながら、ホテルでリーズナブルな贅沢ランチをいただきます
階段を上って向かう先は、同エリア内の「第一ホテル東京シーフォート」。なぜならここでは、とっておきのランチが楽しめるから。 (※第一ホテル東京シーフォートは2023年2月に営業を終了しております。2023.3.23追記)
ホテルの入口をくぐり、28階へ。宴会場の「トップ・オブ・ザ・ベイ」へとやってきました。
会場内は、天井も高く開放感が抜群です。そしてなにより、28階からの眺めは、とにかく雄大で圧巻。
伺った日はあいにくのくもりでしたが、それでも、川の流れる様子や遠くに見えるレインボーブリッジは癒しそのもの。もちろん晴れの日はレインボーブリッジや都内のビル群などもはっきりと見えるんだとか。
普段は、婚礼や宴会などで使用されるこのスペース。実は、平日の一部日程で、「ジャストランチ」と呼ばれる特別メニューを提供しているんです。
「ジャストランチ」はもともと、1,000円ポッキリのまさに“ジャスト”なランチとして提供されていたことから付けられた名前だそう。原材料の高騰もあり、現在は1,100円でいただけます。
日替わりメニューのジャストランチ。今回いただいたのは、「鶏肉の塩麹焼き 和風ソース」です。ホテルに勤めるシェフが目の前で仕上げてくれる本格派。
パン、サラダ、スープ付きでおなかも大満足です。
ちなみに、コーヒーまたは紅茶も付いているので、食後のひとときも合わせて楽しめちゃうんです……。
月末になると、翌月分のメニューが公式サイトで発表されます。どのメニューも魅力的なので、ぜひチェックしてみてくださいね。
●【閉館】第一ホテル東京シーフォート「トップ・オブ・ザ・ベイ」 ・住所 東京都品川区東品川2-3-15 ・電話番号 03-5460-4411 ・営業時間 11:30~14:00(L.O.13:30) https://www.hankyu-hotel.com/hotel/dh/dhtseafort/contents/lunchAll
3. ついつい寄り道したくなっちゃう、魅力あふれる倉庫街を抜けて
たっぷりのランチをいただいたら、のんびりおさんぽタイムを再開。アートの街の真髄、倉庫街に向かって、てくてく歩いてみます。
天王洲エリアで人気のギャラリー「建築倉庫ミュージアム」や寺田倉庫が運営する伝統画材ラボの「PIGMENT TOKYO」などを横目に歩いていくと、こんな華やかな色合いのウォールアートが。
壁画アートを中心に活躍する、DIEGOさんが天王洲アイルの活気あるイメージを表現した作品。こちらは2020年春まで展示予定なのだとか。 (※ウォールアートは現在東品川二丁目船着き場近くに移設されております。2023.11.22追記)
天王洲には、このように活躍されるアーティストさんの作品がたくさんあるんです。写真を撮る手が止まらないので、なかなかおさんぽが思うように進みません(笑)。
次に見つけたのはこちら。「東横INN 品川港南口天王洲アイル」のエントランス近くにあるアート作品「Work 2012」です。
大きなゴミ箱の中に、ビール缶や紙切れなどが多数投げ込まれているこちらの作品。アーティストの三島喜美代さんがゴミを今の社会に溢れる情報と見立て、情報社会を比喩的に表現したのだそうです。
さて、倉庫街を抜けて運河沿いにやってきました。つい先ほどまで、ビル、ビル、ビルの景色だったのに、10分ほど歩くだけでこんなに風景の変わる天王洲エリア。運河を眺めながら、河沿いをゆるゆると歩きます。
ゴミ箱だって、天王洲エリアにかかればこんなアート作品に。かわいいですよね。
各所に散りばめられたアーティストたちの声は、天王洲を作り出すなによりの魅力のように感じます。あたりをキョロキョロしながら「これなに?」を探し出すのも、おさんぽのなによりの楽しみ。
運河沿いには、人気のベーカリーカフェ「breadworks」やケーキショップ「Lily cakes」があり、甘いものにも事欠きません。雑貨屋さんも並ぶのでお買い物もたっぷり楽しめちゃいます。お店の案内板もアート作品になっています。
また、定期的に「TENNOZ HARBOR MARKET」というライフスタイルマーケットも開催。個性的な料理やアーティストの作品が集まり、毎回大にぎわいの様子。運河を眺めながら過ごすひとときは、絶対に最高……! 次回は2019年9月14(土)・15日(日)の予定だそう。
4. 自然と調和する心地よい暮らしの空間「SLOW HOUSE」へ
運河沿いへやってきたところで、お買い物タイムに突入……! さてさて、やってきたのは、ライフスタイルショップ「SLOW HOUSE」です。もとは大きな倉庫だった建物を改装し、2階建ての大人かわいいお店にしたのだそう。
開放感にあふれた店内へ入ると、右も左もすてきな雑貨や家具のオンパレード。あれも良い、これも良い、とワクワクが止まりません。
バイヤーさんが「SLOW HOUSE」らしいアイテムを見つけては、国内外を問わずに仕入れ、販売しているそう。特定のブランドやシリーズに縛られないレイアウトで、まるで家具や雑貨一つひとつの雰囲気を鑑賞するような気持ちで店内を楽しめます。
ただ商品を購入するだけではなく、日常の生活に馴染むインテリアの置き方やセレクトまで選べるのは「SLOW HOUSE」ならでは。
店内を奥まで進んでみると、なんとオリジナルのアパレルブランドまで。日常生活に関わるすべてのものを取り揃えることをモットーとしているため、着心地・使い心地が抜群のお洋服やファッション雑貨も作っているんです。
そのほか、デイリーユースにぴったりのキッチン雑貨やアメニティ類まで多数のラインナップがあります。
ハンドソープを実際に試せるスペースが用意されているのが地味に嬉しいポイント……!
自分にとって心地良い暮らしを考えながら過ごす「SLOW HOUSE」での時間。探しものを見つけるだけではなく、新しい発見や出会いもあるスポットでした。
●SLOW HOUSE ・住所 東京都品川区東品川2-1-3 ・電話番号 03-5495-9471 ・営業時間 11:00~20:00/水曜定休 https://www.slow-house.com/
5. ストリートファニチャーで一休みしたら、くじらの水門へ!
写真を撮りながら歩き回って、少し休憩したくなってくる頃です。ということで、駅側の「スフィアタワー」にやってきました。
ここの広場には、ストリートファニチャーと呼ばれる家具が置かれています。さまざまなデザイナーの作品を集めているのだそう。近くのカフェでドリンクを購入し、一息つきます。
デザイン性はもちろんのこと、座り心地にも工夫を凝らした家具なので、のんびりするにはもってこいです。
お昼時には、文庫本を片手に休み時間を過ごすビジネスパーソンや、親子連れでお茶するママなど、さまざまな方がいらっしゃいました。
家具……とはちょっと違いますが、こんなかわいい公衆電話も。
さてさて、次は先ほどまでいた運河からは離れ、目黒川沿いに向かいます。
大通りを抜けて10分ほど歩くと、見えてきたのはくじら柄の「目黒川水門」。
1798(寛政10)年、品川沖にクジラが迷い込んだという話からモチーフに選ばれたそう。よく見ると、波は「しながわ」の文字になっています。
天王洲エリアにはいくつか水門があるのですが、それぞれにイラストがあしらわれています。テイストのゆるさに、気分も和やかになりました。
ちなみに、水門のそばには緑豊かな天王洲公園があります。右には緑、左には水、自然たっぷりなのでおさんぽコースに取り入れるのもおすすめです。
目黒川を超えた先、新馬場駅方面に少し歩くと、シルクスクリーンを体験できる「SURUTOCO」も。シルクスクリーンのワークショップやオリジナルグッズ作り体験などもできるので、時間に余裕があるときは、天王洲エリアから寄り道なんて楽しみ方もできちゃいます。
6. 倉庫街へ戻り、フィナーレは夜景で
あちらこちらと歩き回っているうちに、あたりが暗くなってきました。夕暮れ時には、ほんのりとライトアップされた「ふれあい橋」に行ってみましょう。
ふれあい橋を渡った先の対岸からは、橋と「T.Y.HARBOR」が同時に見えるので、より贅沢な雰囲気に。運河を通り抜ける屋形船の姿もありました。
奥にはビル群も見え、天王洲エリアに詰め込まれた魅力をぎゅっと凝縮しているよう。
お昼間に歩いた運河沿いは、夜になると一味違う幻想的な風景に様変わりしていました。
10月5日(土)・6日(日)には、年に一度の「しながわ水辺の観光フェスタ」が開催されます。夜には打ち上げ花火もあるので、運河沿いでのんびりしながら花火を楽しむ、なんて過ごし方もロマンチックです。
天王洲エリアを1日歩いてみると、日頃都心では見つけられない風景にたくさん出会いました。穏やかで、和やかで、ちょっぴりの贅沢が詰まった天王洲アイル。
お休みの日にでもお仕事帰りでも、小さな幸せを見つけにふらり訪れてみてくださいね。
(取材・撮影:鈴木しの モデル:山越栞 編集:鬼頭佳代/ノオト)